2020 Fiscal Year Annual Research Report
胎児期環境の神経発達障害と脳の性分化および肥満への影響解明:出生コーホート研究
Project/Area Number |
19H01071
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
岸 玲子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, センター特別招へい教授 (80112449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒木 敦子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任教授 (00619885)
小林 澄貴 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (10733371)
齊藤 卓弥 北海道大学, 大学病院, 特任教授 (20246961)
三浦 りゅう 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (20506414)
湊屋 街子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 客員研究員 (50733367)
山崎 圭子 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (60732120)
中島 そのみ 札幌医科大学, 保健医療学部, 准教授 (70325877)
宮下 ちひろ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任准教授 (70632389)
白石 秀明 北海道大学, 大学病院, 講師 (80374411)
アイツバマイ ゆふ 北海道大学, 環境健康科学研究教育センター, 特任講師 (90752907)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 出生コホート / 環境化学物質 / 神経発達障害 / 第二次性徴 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、出生コホート研究で胎児期および生後の環境化学物質曝露が児のアレルギー、神経行動発達、第二次性徴等のアウトカムへ及ぼす影響についてリスク評価を行うことを目的とした。同時に複合曝露の影響および一塩基多型(SNPs)解析で感受性の高いハイリスク群を明らかにするとともに、遺伝子エピゲノム変化による発症機序を含む分子メカニズムを解明する。 令和二年度は、コホートの参加者について8歳で神経行動発達の調査票661件、11歳で第二次性徴に関する調査票1,279件、12歳で小学校の学校健診記録から転記する身長体重調査票1,352件、15歳で中学校の身長体重調査票1,440件を発送した。回収数は、8歳467件(回収率71%)、11歳761件(回収率59%)、12歳481件(回収率36%)、15歳556件(回収率39%)であった。17歳のアレルギーと体格の質問票を作成し、調査開始の準備を行った。小学校1年から6年生の学校健診記録を転記した測定日、身長、体重について2300件のデータクリーニングを行った。妊娠初期血清検体329件中のフタル酸7代謝物(MnBP, MiBP, MBzP, MEHP, MEHHP, MECPP)を測定した。脳波調査では、有機フッ素化合物(PFAS)の胎児期曝露が児の認知機能に関連する可能性を検討した。脳波とPFASデータがそろう13歳児93名を対象にGo/NoGo課題中の脳波を分析した。第一刺激として「A」または「+」、第二刺激として英文字をランダム提示し、参加者は「A」と「X」の連続提示時のみボタン押し反応した。第一刺激が「A」の場合に第二刺激への予期反応として惹起した随伴性陰性変動は、胎児期のPFAS濃度が高いほど振幅が増強した。PFASのいくつかは長期間体内にとどまるため、児の予期的期待や運動反応に関わる認知機能の発達が影響を受けた可能性が考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大規模出生コホートの調査継続、質問票の発送および回収に関しては概ね計画通りに進んでいる。 生体試料を用いた胎児期環境化学物の曝露評価について、妊娠初期母体血清中のフタル酸7代謝物の測定を100検体で実施した。 脳波調査で、有機フッ素化合物曝露が児の認知機能に関連する可能性を検討した。翌年度以降も調査を継続し、フォローアップの維持に努める。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き出生コホートの調査継続、質問票の発送および回収、尿検体の回収、フォローアップの維持を継続する。令和二年度に測定した妊娠初期母体血清中のフタル酸7代謝物と第二次性徴発来のタイミングおよび、成長や肥満などの体格との解析を実施する。 生後のアウトカム評価として、これまでの質問票調査によるアレルギー、神経行動発達、第二次性徴の評価を行う。 最終的には、胎児期および生後の環境化学物質の複合曝露によるアレルギー・免疫系、神経行動発達、第二次性徴との関連についてエピジェネティックな変化の交互作用も考慮したリスク評価を行う。
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Research Products
(29 results)