2019 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative gene/nucleic acid delivery system based on optimized intracellular trafficking steps
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19H01170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原島 秀吉 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (00183567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 悠介 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10735624)
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20604458)
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (60451431)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | siRNA / 細胞内局在 / がん免疫療法 / 脂質ナノ粒子 / ミトコンドリア / 核酸送達 / 遺伝子治療 / 細胞内動態制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
1 siRNA送達(佐藤):siRNAは細胞質中でリン酸化酵素Clp1により5’末端のリン酸化修飾を受け、RISCを形成し、標的mRNAのサイレンシングを引き起こす。我々の予備検討結果から、siRNAの多くが上述の一般的な経路をたどっていない可能性が強く示唆された。そこでブラックボックスとなっているsiRNAの細胞内運命を①5’リン酸化・RISC形成速度、②細胞質内・核内局在、の観点から解明する。 2 pDNA送達(原島):転写(TC)/翻訳(TL)過程に大きな差が認められたナノDDSにおいて、TCとTLのどちらの寄与が大きいかを、mRNAを定量することにより識別する。 ①TLの寄与が大きい場合、ナノDDSのエンドソーム脱出時にエンドソーム内物質が漏出したり、あるいはpDNA導入に伴う各種細胞内センサーの刺激によって、導入細胞におけるTL活性が低下する、という仮説を検証する。 3 がん免疫ナノ療法(中村):患者個人の腫瘍関連微小環境の免疫状態を把握することは治療戦略の決定に不可欠である。そこで、免疫状態が異なる担がんマウスモデルから腫瘍組織、所属リンパ節、脾臓を採取し、遺伝子発現解析を行うことで腫瘍関連微小環境の免疫状態情報を得る。文献情報からヒトで確認されている腫瘍関連微小環境の免疫状態をカテゴリー化し、それらを反映する担がんマウスモデルを5種類以上選定する。 4 Mt送達(山田):核酸・遺伝子をコアとするナノ粒子を形成し、細胞膜とMt膜 を突破するために、脂質膜コーティングを施す。脂質膜表面には細胞導入素子およびミトコンドリア移行性アプタマー(負電荷)を修飾したDual ligand MITO-Porterを基盤骨格とする。また、細胞内での流動性の向上を目指し、ポリエチレングリコール(PEG)などの親水性ポリマーの修飾や、微小な粒子径も検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1 siRNA送達(佐藤):siRNAの5’リン酸化反応が送達後速やかになされる一方で、RISC形成過程が遅いことが明らかとなった。また、siRNAは送達後速やかに核に濃縮することが分かった。 2 pDNA送達(原島):DOTAP:DOPE脂質ナノ粒子の静脈内投与後の遺伝子発現過程に、核移行後の転写(TC)/翻訳(TL)過程における促進が見いだされ、取込経路との関係について解析中である。 3 がん免疫ナノ療法(中村):アジュバントと抗原を搭載したナノ粒子のin vivoイメージによる体内分布評価の予備検討を行った。また、全身臓器における遺伝子発現解析法を確立した。 4 ミトコンドリア (Mt)への送達(山田): 疾患細胞Mtに核酸および遺伝子を送達可能なMITO-Porterの開発に成功し、Mtを標的とした遺伝子治療の戦略の検証を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
1 siRNA送達(佐藤):siRNAの細胞内局在の経時変化を定量的に測定する。また、siRNAと局在化素子とのコンジュゲート化法を検討し、細胞内局在と遺伝子ノックダウン活性との関連を明らかにする。 2 pDNA送達(原島):DODAP:DOPE脂質ナノ粒子の静脈内投与後の脾臓における転写(TC)/翻訳(TL)過程に大きな差が認められたので、TCとTLのどちらの寄与が大きいかを、mRNAを定量することにより識別する。 3 がん免疫ナノ療法(中村):アジュバントと抗原を搭載したナノDDSを腫瘍内投与、皮下投与、静脈内投与した場合の抗腫瘍活性と組織での遺伝子発現プロファイルの関係を明らかにする。 4 Mtへの送達(山田):新型MITO-Porterを疾患細胞に添加し、細胞内動態を観察しキャリアのMt送達効率の最適化をはかる。また、細胞外フラックスアナライザーを利用してMt機能を評価する。
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Remarks |
血管を標的とするナノ医療の実装~Personalized Nanomedicineの北大ブランド化~は、北海道大学の概算要求プロジェクトで(2019年4月~2024年3月)、本研究の実用化を目的とした部局横断型研究事業である。
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Research Products
(21 results)