2021 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative gene/nucleic acid delivery system based on optimized intracellular trafficking steps
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19H01170
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
原島 秀吉 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (00183567)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 悠介 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (10735624)
中村 孝司 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20604458)
山田 勇磨 北海道大学, 薬学研究院, 准教授 (60451431)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | siRNA / 細胞内局在 / がん免疫療法 / 脂質ナノ粒子 / 核酸送達 / 遺伝子治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ナノDDS技術 を駆使することでブラックボックスを解明する とともに新たな戦略を確立し、 最高水準のナノDDSを用いて、 がん免疫療法の進化へ貢献する。 さらに、これまで不可能であった疾患細胞のミトコンドリア (Mt) への遺伝子送達システムを 開発し、Mt遺伝子治療の臨床応 用へ展開する。 1 siRNA送達(佐藤): siRNAへの核外輸送シグナルペプチドのコンジュゲートにより、脂質ナノ粒子をマウスに静脈内投与してから早い時間帯において肝臓中標的遺伝子のノックダウン効率が向上する傾向が認められた。コンジュゲートのリンカー部位の安定化による活性への影響は認められなかったことから、汎用的なリンカー構造で効果を発揮可能であることが示唆された。 2 pDNA送達(原島):肝臓選択的なキャリアと脾臓選択的なキャリアの体内分布・組織内分布を比較したところ、両者に大きな違いは見られず、pDNAの移行量だけでは遺伝子発現の差は説明できなかった。次に、核移行、転写、翻訳の各過程の効率を評価するため、各組織の核内pDNA量、mRNA発現量、タンパク質発現量を定量した。その結果、遺伝子発現の差には翻訳過程が大きく関与していることが示唆された。 3 がん免疫ナノ療法(中村):アジュバントと抗原を搭載したナノDDSを腫瘍内投与、静脈内投与した後、フローサイトメトリー解析により脾臓のT細胞フェノタイプを調べた結果、T細胞フェノタイプと抗腫瘍活性に相関を見出すことに成功した。 4 ミトコンドリア (Mt)への送達(山田):ナノDDSの神経細胞軸索輸送の検証を行うため、初代培養神経細胞を樹立し、共焦点レーザー走査型顕微鏡を用いたリアルタイム動態観察法を確立した。新型MITO-Porterが神経細胞軸索上を移動していることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1 siRNA送達(佐藤):コンジュゲート化siRNAの脂質ナノ粒子化を行い、非コンジュゲート体と比較して投与後早期の時間で遺伝子ノックダウン活性が上昇する傾向を得た。 2 pDNA送達(原島):肝臓選択的なキャリアと脾臓選択的なキャリア投与後の、各組織中の核内pDNA量、mRNA発現量、タンパク質発現量を定量し、核移行、転写、翻訳の各過程の効率を評価したところ、翻訳過程に大きな差が生じていることが示唆された。 3 がん免疫ナノ療法(中村):現在までにアジュバントと抗原を搭載したナノDDSの投与経路による抗腫瘍活性誘導効率の違いとT細胞の活性化やフェノタイプが異なることを明らかにすることができた。 4 ミトコンドリア (Mt)への送達(山田):新型MITO-Porterが神経細胞軸索上を移動していることを観察し、本ナノDDSが神経細胞軸索輸送可能なDDSでことが示された。
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Strategy for Future Research Activity |
1 siRNA送達(佐藤):コンジュゲート化siRNAの脂質ナノ粒子化を行い、非コンジュゲート体と比較して投与後早期の時間で遺伝子ノックダウン活性が上昇する傾向を得たことから、当該時間帯における投与量依存性の検証やsiRNAのRISCへの結合量の定量などの解析を進める。 2 pDNAの送達(原島):これまでに、LNPに封入したpDNAの体内・組織内分布及び、mRNA・タンパク質発現量の定量解析から遺伝子発現の差には翻訳過程が大きく関わっていることが示唆された。次年度は、pDNA封入LNPの導入によって、その細胞がどのような状態(細胞内輸送、代謝経路等)になっているかをトランスクリプトーム解析により評価し、そこで見られた細胞応答が遺伝子発現活性、特に翻訳活性にどう影響しているかを阻害剤やノックダウン実験で検証する。 3 がん免疫ナノ療法(中村):静脈内投与したアジュバント/抗原搭載ナノDDSの特性を調べるため、抗原特異的なT細胞応答を誘導可能な量のアジュバントと抗原(ナノDDS不使用)を比較対象としてT細胞の活性化フェノタイプの解析を進める。 4 ミトコンドリア (Mt)への送達(山田): Mt治療用遺伝子装置を新型MITO-Porterに搭載し、モデル細胞を用いて遺伝子治療戦略を検証する。ミトコンドリア遺伝子(mtDNA)に変異を有する細胞を用い、MITO-Porter添加前後での遺伝子変異率を測定する。さらに、酸素消費速度を基盤にミトコンドリア呼吸能を測定し、治療効果を検証する。
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Research Products
(22 results)