2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H01205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長木 誠司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (50292842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 純 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10251331)
韓 燕麗 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (10537096)
林 少陽 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20376578) [Withdrawn]
竹峰 義和 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20551609)
一條 麻美子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (30213987)
清水 晶子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (40361589)
乗松 亨平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40588711)
加治屋 健司 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (70453214)
森元 庸介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70637066)
桑田 光平 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (80570639)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 再制作 / 複製技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の3項目について研究を行った。 ①造形芸術における再制作の実践的問題:宇佐美圭司《きずな》のケーススタディ:東京大学における宇佐美圭司作品《きずな》(1977)の廃棄問題をめぐるシンポジウムを中心的に組織した加治屋は、その際、適切な光源のもとでの全体写真が見つかっていない《きずな》の画像を、画像技術の専門家の協力を得て既存写真から再制作したが、さらに廃棄された作品自体の再制作について、それにともなう技術的問題を検討するとともに、事故で失われたオリジナルの再制作が引き起こす倫理的・法的問題を整理した。 ②文学における作者性の歴史的再検討①:写本・写字をめぐって:印刷術が確立する以前、19世紀以降の文献学により、オリジナルを復元するための過渡的資料として扱われてきた写本は、20世紀末から、総体を作品として扱う「新しい文献学」の登場をうながし、それは作者や作品のオリジナリティを前提とする近代文学とは異なる研究分野として注目されている。写本における書き換えがタブー視されず、いわば創作者と受容者が一体化していた時代から、近代文学・文献学が興った19世紀における写本や写字に対する見方(たとえばゴーゴリやメルヴィルの作品では写字生が重要な位置を占めている)への変化を検討し、作者性の歴史的変遷をめぐる議論を深化させた。 ③複製技術理論の再検討:ベンヤミンが複製技術論の議論には再制作という営為は想定されていなかったが、アウラ、反復可能性、テクノロジーといったその主題系は、再制作の問題と深く関連している。複製芸術の代表とされた映画も、公開・流通・保存の過程で、字幕や吹替、フィルムの修復、音源のリマスターなど、複製を逸脱する変化をこうむる。現代のデジタル技術は、視聴者も巻き込んだインタラクティヴな再制作が急拡大するポスト・メディウム状況を再制作という観点から、複製技術理論を再検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末のコロナ渦により、清水が担当するシンポジウムが開催されず、翌年度へと延期されたため、その部分の研究計画にはやむを得ぬ遅れが生じたが、すでに具体的な人選や内容までが決められているシンポジウムであり、あとは開催されるのを待つだけの状態であったこと、そしてそれは研究構成員のなかのわずか1名の担当分に当たるため、それ以外の計画は順調に進んでいるので、「おおむね順調に進展している」と評価してよいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
残念ながら、研究計画の一部は新型コロナ・ウィルスの蔓延防止による緊急事態宣言が出されたため、延期せざるを得なかったが、それはコロナ渦が落ち着けば早速にでも開催可能であり、そのほかの計画は順調なので、このまま当初の研究課題を予定通り進めたいと思っている。
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Research Products
(30 results)
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[Book] つれづれ草2019
Author(s)
ジェラール・マセ、桑田光平
Total Pages
320
Publisher
水声社
ISBN
978-4801003682