2019 Fiscal Year Annual Research Report
カメラオブスクラとマジックランタン 今日的デジタル手法を活用した光の表現法研究
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19H01220
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
佐藤 時啓 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (20187214)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三浦 啓子 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (50322871)
永井 文仁 東京藝術大学, 美術学部, 助教 (50647154)
小町谷 圭 札幌大谷大学, 芸術学部, 准教授 (90536905)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | カメラオブスクラ / 写真表現 / リレーショナルアート / マジックランタン / 光の表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度、当初の予定を変更して、移動形式のカメラオブスクラの研究制作から開始した。電動アシスト式の三輪自転車式架構システムが既成で手頃なものが見つかったからである。そこに籠を作り、中に人が乗り込むことができるカメラオブスクラを制作した。人が籠部分に入り、入り口を閉じると真っ暗な部屋になる。そして着座した膝の上に壁に片方を固定されヒンジの付いた板を下げ反対側の壁に固定すると、そこに天井部分から焦点距離1500mmの単レンズを通じたイメージが映し出される。 着座する姿勢は、三輪自転車の進行方向に対して反対方向の後側に向かうが、レンズは鏡を通じて進行方向の前を向いている。結果として走り出すと乗客は進行方向の風景を膝の上に見ることになり、実際に後ろ向きに進行する重力とは逆の視覚体験をする。それにもかかわらず楽しめる不思議な風景動画を、夏休み等を使い、実践的にこども達へのワークショップに用い、反応や運用の実験を行い、好評を得た。 改良を繰り返しながら、この装置を用いたカメラオブスクラの実践ワークショップを繰り返した。一方、マジックランタン研究においては、夏に高輝度プロジェクターを導入し、プロジェクターを用いたイメージを風景に投影し、さらに導入した最高解像度のデジタルカメラによって記録し新たな風景写真を制作するプロジェクトも実践した。初年度研究において、カメラオブスクラの本体と、マジックランタンを用いた新たな写真表現研究との両面での研究から開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究の順番を入れ替えたため、マジックランタン研究の内容が当初の予定である光の揺らぎ研究と構造の研究に手をつけることができなかったが、代わりにマジックランタンを用いた新たな写真表現の研究が先行している。また牽引式、移動式カメラオブスクラの研究は予定より進んでいるので、概ね順調とした。特に可動式のカメラオブスクラの実験と実践は予定よりかなり進んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね予定通りに進んでいるため、2020年度はさらに移動式カメラオブスクラ本体の改良研究を行いたい。現在一人乗りとして制作しているが、少し拡げて二人ゆっくり腰掛けられるように改良する。さらにマジックランタンの構造や光の揺らぎ研究を行いたい。当初予定通り、最終的には体験的なカメラオブスクラとマジックランタン装置の制作と、新たな写真表現としての両面での研究を行う。
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