2019 Fiscal Year Annual Research Report
アフリカ諸言語における受動態の形態統語に関する類型論的比較・対照研究
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19H01254
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小森 淳子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (10376824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 信子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (90352955)
原 真由子 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 准教授 (20389563)
仲尾 周一郎 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 講師 (10750359)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アフリカ諸語 / バントゥ諸語 / 受動態 / ベニシャングル・アラビア語 / ジュバ・アラビア語 / ベルタ語 / インドネシア語 / スワヒリ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アフリカの諸言語において、「受動態」(passive) がどのように表されるかという観点から、動詞の受動形に関する形態・統語構造を記述し、地域的、系統的、通時的な特徴を明らかにすることである。研究対象とする言語は、バントゥ諸語を含むニジェール・コンゴ語族の諸言語を中心に、ナイル・サハラ語族の言語と、それに関係の深いアラビア語系クレオールの諸言語である。共時的な記述を行うとともに、受動形の類型的な分布や、クレオール言語における受動形の再分析と文法化をみることによって、通時的な分析を行う。さらに、アフリカ以外の地域の言語(今回はインドネシア語)と対照研究を行い、アフリカの諸言語における受動態の地域的な特徴と、普遍的な特徴の解明を試みる。 今年度は、研究代表者、分担者が担当する言語における「受動態」に関する調査、研究をおこない、研究会で発表してお互いの知見をシェアした。研究会は2回おこなった。1回目は2019年11月21日:発表題「アフリカ諸言語における受動態の形態統語に関する類型論的比較・対照研究」(小森淳子)、発表題「インドネシア語の受動文」(原真由子)。2回目は2020年1月23日:発表題「ベルタ語、ベニシャングル・アラビア語、ジュバ・アラビア語と受動に相当する諸構文」(仲尾周一郎)。それぞれのデータを分析し、活発な議論をおこなった。 また、研究協力者(古本真)を海外調査に派遣し、言語記述調査をおこなってもらった。古本はタンザニア・ザンジバルのスワヒリ語方言の調査をおこない、受動形についてのデータ収集をおこなった(帰国後、調査報告の研究会を開催予定であったが、コロナ禍で中止せざるを得なくなった)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、アフリカ諸語のデータとインドネシア語のデータを集めて、「受動態」に相当する文について、形態的、統語的な観点から、類型論的な特徴を議論することを目的としており、できるだけ多くの言語のデータを収集することが重要である。年度末に向けて、データの収集と整理、議論のための研究会をもつ予定であったが、コロナ禍のために、すべてがキャンセルになり、今後も、いつ海外調査ができるか不明の状況である。書籍や発表されている論文などからデータを収集することに努めつつも、実際に現地に赴くことができず、思うように活動ができない状況にあって、研究の進展が遅れることが予測される。
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Strategy for Future Research Activity |
予期せぬコロナ禍のために、実際に海外調査がいつ再開できるかが不明であるため、当面は、書籍や論文などからデータ収集に努める予定である。 アフリカ諸語とインドネシア語を調査対象としているが、アフリカ諸語の数は膨大である。バントゥ諸語については、かなりのデータの蓄積があるが、それ以外の言語は、まだデータの収集が始まったばかりという状況であるので、バントゥ諸語以外のニジェール・コンゴ語族の言語、また、ナイル・サハラ語族の言語のデータ収集を集中して行っていく方針である。研究会などの開催が可能になった時点から、それぞれの研究成果の発表を行い、また海外渡航が可能になってから、海外調査をおこない、また海外の研究者を招聘してワークショップなどを開催する予定である。
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Research Products
(10 results)