2020 Fiscal Year Annual Research Report
地形プロセス,地形発達,空間情報の融合による表層崩壊の時空間解析へ向けた新展開
Project/Area Number |
19H01371
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
八反地 剛 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00418625)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土志田 正二 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, 研究員(移行) (20526909)
古市 剛久 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 森林総研特別研究員 (60464202)
田中 靖 駒澤大学, 文学部, 教授 (80348888)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 地形学 / 山地 / 斜面 / 微地形 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
研究課題を遂行するため,山口県防府市,広島県広島市安佐南区・安佐北区に設定された調査地域において現地調査とデータ解析を進めた.2020年度に得られた主要な成果は以下の通りである. 1.茨城県の筑波山北部と広島県広島市安佐北区の未崩壊の谷頭部斜面において二次元電気探査を適用し,地下構造の推定の可能性を検討した.対象斜面には崩壊を引き起こしやすい表土層がある.水平成層構造を有する探査領域において,比抵抗分布は地下構造を良好に反映した.一方で,地下構造が3次元的に変化する領域や,物性が漸移的に変化する領域では,再現性が低下すした.表土とその下位構成物に物性の不連続面がある場合,比抵抗の上昇区間が出現し,表土層基底面を検出できることが明らかになった. 2.広島市安佐南区の権現山・阿武山周辺地域に2014年豪雨によって発生した斜面崩壊の地形的特徴および崩壊発生に対する力学的条件について取りまとめ,論文として発表した.これらの斜面において,土層がほぼ飽和した状態で崩壊が発生していたことが推定された. 3.山口県防府市の2つの崩壊地を対象に,炭質物試料の年代測定と崩壊前の高精細地形データ解析を行い,崩壊前の谷頭凹地の埋積速度を推定した.試料の年代は1200-1400 cal ADの範囲にあり,崩壊前の地形データから炭質物を含む層の上位に厚さ数mオーダーの土層が発達していたことを推定した. 崩壊前の谷頭凹地の埋積速度は谷頭凹地上部谷壁(滑落崖付近)において0.9-2.1 mm/年,谷頭凹地の中央(崩壊地)において 2.1-6.9 mm/年に達することが明らかになった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年4月以降新型コロナウイルスの影響を受けて,現地調査を延期したり,人数規模の縮小を余儀なくされたが,2019年度までに電気探査や炭素年代資料の採取・分析などの基本的データ取得が進められたため,基本的にそれらのデータの取りまとめにより,研究を遂行することができた.
|
Strategy for Future Research Activity |
広島市安佐南区・安佐北区,山口県防府市で収集されたデータを取りまとめる.広島市安佐南区・安佐北区の対象地域内においても2009年に表層崩壊が発生した複数の1次谷において,発見された炭質物試料の炭素14年代を測定し,解析を進める.また,崩壊履歴を推定するうえで崩壊後の地形変化のプロセスを明らかにすることも重要であると考え,新たに広島市安佐北区および熊野町にある2つの崩壊地を対象に崩壊後の侵食量に関するモニタリングに着手した.また,コロナ禍で遠方への調査に制約が発生している状況も考慮し,2019年の東日本台風によって土砂災害が発生した宮城県丸森町を新たな調査対象地とし,LIDARデータなどの基礎データの収集,現地の土層調査,炭素年代試料の採取などを行う.
|
Research Products
(3 results)