2019 Fiscal Year Annual Research Report
積雪が稀な地域での大雪発生状況の把握と現在及び将来の大雪発生ポテンシャルの評価
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19H01377
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| Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
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Principal Investigator |
川瀬 宏明 気象庁気象研究所, 応用気象研究部, 主任研究官 (20537287)
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| Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野沢 徹 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (10311325)
大庭 雅道 一般財団法人電力中央研究所, 環境科学研究所, 主任研究員 (40466660)
西井 和晃 三重大学, 生物資源学研究科, 准教授 (50623401)
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| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | 大雪 / 区内観測 / データレスキュー / 南岸低気圧 / 太平洋側の降雪 / 地域気候モデル / 地球温暖化 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
気象庁区内観測の画像ファイルから、積雪深データのデジタル化を実施した。今年度は気象研究所が関東南部、三重大学が三重県、岡山大学が山陽地方を対象に行った。デジタル化後のデータを用いて、1969年3月の関東地方の大雪事例を対象に降雪量マップを作成したところ、区内観測は気象官署や測候所のデータでは捉えられない詳細な積雪分布を捉えていた。また、同事例を対象に気象庁55年長期再解析データ(JRA55)をもとに非静力地域気候モデル(NHRCM)を用いた再現実験を行った結果、NHRCMは区内観測から得られた降雪分布をよく再現していた。
三重県においては、区内観測データから大雪事例の抽出を行い、JRA55を用いて大雪発生時の総観場の状況や上空の気温の特徴を把握した。また、鳥羽で１日に50センチの雪を観測した事例を対象にNHRCMによる再現実験を実施したが、NHRCMは降雨が主体となり、観測された大雪を再現できなかった。
岡山市の降雪を対象に長期の観測データから降雪発生時の総観場を調査した。モデルを用いた先行研究から、岡山市付近の降雪は冬型と南岸低気圧型の両方で発生するが、特に強い降雪は南岸低気圧型で発生する割合が大きいことが指摘されている。観測データで検証すると、先行研究で推測されるほど南岸低気圧による大雪の割合が多くなかった。解析期間の違いやモデルと観測で降雪発生が異なる可能性があり、今後更なる分析が必要である。
地球温暖化対策に資するアンサンブル気候予測データベースを用いて、積雪の上に降る雨（Rain on Snow: ROS）の将来変化を調査したところ、地域によって異なる変化を示した。ROS発生時の総観場を自己組織化マップを用いて調査すると、北陸地方では現在、日本海を通る低気圧によってROSが発生しているが、将来は西高東低の気圧配置時にROSの出現頻度が増加することが示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
区内観測のデジタル化及び解析は順調に進展している。また、地域気候モデルを用いた再現実験、既存の地域気候変化予測実験を用いた解析も順調に進んでいる。
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| Strategy for Future Research Activity |
区内観測のさらなるデジタル化を進めるとともに、大雪の頻度解析及び顕著な大雪事例を対象とした事例解析を進める。地域気候モデルを用いて、1958年以降の積雪・降雪の再現実験を実施していく。気象庁55年長期再解析データや地球温暖化に資するアンサンブル気候変化データベース等のデータセットを解析し、過去及び将来の降雪と総観場の特徴を把握する。
なお、当初計画では今年度に複数の国内学会や国際学会、研究会の参加を予定していたが、新型コロナウイルスにより多くの研究会が中止となっている。成果発表は、学術雑誌への投稿で行なうこととする。なお、代表者・分担者間の情報共有についてはオンラインミーティングにより実施する。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] Changes in extremely heavy and light snow-cover winters due to global warming over high mountainous areas in central Japan2020
Author(s)
Hiroaki Kawase, Takeshi Yamazaki, Shiori Sugimoto, Takahiro Sasai, Rui Ito, Takashi Hamada, Masatoshi Kuribayashi, Mikiko Fujita, Akihiko Murata, Masaya Nosaka, Hidetaka Sasaki
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Journal Title
Progress in Earth and Planetary Science
Volume: 7
Pages: 1-17
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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