2019 Fiscal Year Annual Research Report
法律行為解釈の構造と方法に関する現代的課題とその検討
Project/Area Number |
19H01428
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 敬三 京都大学, 法学研究科, 教授 (80191401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西谷 祐子 京都大学, 法学研究科, 教授 (30301047)
森山 浩江 大阪市立大学, 大学院法学研究科, 教授 (60278504)
浦野 由紀子 神戸大学, 法学研究科, 教授 (70309417)
吉政 知広 京都大学, 法学研究科, 教授 (70378511)
木村 敦子 京都大学, 法学研究科, 准教授 (50437183)
コツィオール ガブリエーレ 京都大学, 法学研究科, 准教授 (10725302)
田中 洋 神戸大学, 法学研究科, 准教授 (10456767)
長野 史寛 京都大学, 法学研究科, 准教授 (60551463)
和田 勝行 京都大学, 法学研究科, 准教授 (90551490)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 法律行為 / 法解釈方法論 / 現代型契約 / 国際取引 / 家族法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、基盤研究1年目として、基礎理論研究班と各論的研究班(現代契約研究班、家族関係・相続研究班、国際取引・比較法研究班)を組織し、連携しながら研究を進めた。 (ⅰ)基礎理論研究班では、法律行為の解釈に関する理論構成を構築するための基礎的作業として、従来の法律行為解釈論を再検討し、とくに現代型契約や国際取引、家族関係の変容に即した形でいかなる解釈論を提示する必要があるかについての検討を行った。この検討にあたっては、私的自治・法律行為論、隣接科学(言語行為論、法と経済学、行動経済学、認知科学)に関する議論についても考察を行い、現代社会の要請に即した法律行為解釈論を理論的に構築するための新たな知見の獲得につとめた。 (ⅱ)各論研究班(現代契約研究班、家族関係・相続研究班、国際取引・比較法研究班)は、2017年の債権法改正や2018年の相続法改正の内容を中心に検討し、その内容と法律行為解釈論との連関を整理した。また、実務における契約や遺言の解釈の方法と基準を抽出するために、裁判例を分析する作業を行った。こうした具体的検討内容を、基礎理論研究にフィードバックすることで、法律行為解釈論の基本的枠組みの再構築の可能性について考察を深めた。 (ⅲ)次年度以降に実施する実態調査の準備作業として、保険約款等について実務家と意見交換を行った。このほか、2020年2月には、クリスティアン・フォン・バール教授(オスナブリュック大学)を招聘し、「ヨーロッパにおける占有の法と法律行為による物権の移転の法に関する基本問題」について講演会を開催するとともに、同テーマをふまえて法律行為の理論的内容について、比較法的見地から意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
基礎理論研究班の作業として、従来の法律行為解釈論の分析に加え、私的自治・法律行為論、隣接科学(言語行為論、法と経済学、行動経済学、認知科学)の議論内容が多岐にわたるため、その考察とその内容を法律行為解釈論へと還元する作業については、必ずしも十分な検討結果が得られる段階には至っていない。 各論研究班では、2017年の債権法改正並びに2018年の相続法改正をふまえて、個別の制度について、詳細な分析を行うことができた。しかし、その内容が膨大であるため分析作業にかなりの時間を費やす結果となってしまい、現代型契約や家族形態の変容をふまえた考察について、十分な意見交換などを行うことができなかった。 また、2020年度以降に実施する実態調査として行う契約書式・約款の分析やインタビュー調査に関する方法論の分析・精査についても、さらなる検討を行う必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度は、基盤研究2年目として、法律行為の解釈に関する理論構造を検討するための基礎的作業として、2019年度に積み残した分析作業をさらに進めるとともに、実態調査 として行う契約書式・約款の分析やインタビュー調査に関する方法論の検討・分析に着手する。 (ⅰ)基礎理論研究班を中心に、法律行為の解釈に関する理論構成を構築するための基礎的作業として、従来の法律行為解釈論に関する内容の問題点を洗い出す作業を引き続き行う。また、私的自治・法律行為論、隣接科学(言語行為論、法と経済学、行動経済学、認知科学)の 知見及び法解釈方法論に関する議論についても検討する。加えて、今年度よりに実施する実態調査として行う契約書式・約款の分析やインタビ ュー調査に関する方法論の分析・精査を行う。 (ⅱ)各論研究班(現代契約研究班、家族関係・相続研究班、国際取引・比較法研究班)は、理論研究班による研究手法や契約類型の選定をも とに、各種契約書式・約款を収集し、その分析を行う。加えて、いくつかの契約類型や遺言相続に携わる実務家(企業法務関係者、弁護士、公証人等)にインタビュー調査を実施する。
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Research Products
(23 results)