2020 Fiscal Year Annual Research Report
近代アジアにおける「阪神雑貨」が及ぼす社会経済的変化に関する実証研究
Project/Area Number |
19H01514
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Research Institution | Konan University |
Principal Investigator |
平井 健介 甲南大学, 経済学部, 准教授 (60439221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 貴子 近畿大学, 文芸学部, 教授 (00411653)
竹内 祐介 東京都立大学, 経営学研究科, 准教授 (30711238)
古田 和子 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 名誉教授 (20173536)
瀬戸林 政孝 福岡大学, 経済学部, 准教授 (10383952)
工藤 裕子 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (40827101)
小林 篤史 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (40750435)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | アジア / 阪神 / 雑貨 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、阪神で生産された雑貨の流入によって、アジア諸地域ではどのような社会経済的変化が引き起こされたのかを解明するため、人々の生活・思考様式の変容、工業化の原動力、経済的交流と政治的軋轢の相互作用などについて分析を進めていくことにある。 今年度は各自が研究を進め、その成果報告と意見交換のために、年度末に2回のオンライン研究会を実施した。各回の報告者と報告タイトルは次の通りである。第1回研究会(東アジア班):小林篤史「1920年代のシンガポール・英領マラヤにおける雑貨類の貿易」、工藤裕子「日本製品市場としてのオランダ領東インド-貿易統計と流通経路の分析から」、瀬戸林政孝「1920年代から30年代の大阪上海間の加工綿布取引と中国加工綿布業」、古田和子「1950年代初期、大阪財界の中国貿易論」。第2回研究会(帝国日本班):上田貴子「戦間期日本薬業界からみた東アジア市場」、竹内祐介「植民地朝鮮における輸入代替工業化と燐寸」、平井健介「日本人の植民地進出と阪神雑貨―草創期の台湾を事例に―」。 研究を進める過程で、各自が本研究課題に関する研究を発表した。アジア班では、瀬戸林政孝が中国における綿布市場についての論文、小林篤史が近代東南アジアにおける経済発展についての論文をそれぞれ発表した。帝国日本班では、上田貴子が中国近現代史の動向を紹介する論稿を発表し、平井健介がマッチのアジア・植民地への輸移出をまとめた論考、および台湾における入浴習慣の変容と石鹸需要の増大についての論考を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響によって、研究の進捗の遅れがある。 第1に、資料収集については海外渡航が困難であることはもちろん、国内でも緊急事態宣言が出されるたびに図書館や文書館から受け入れが停止されるため、資料収集を困難にしている。 第2に、研究集会では対面での実施は断念したが、ZOOMを利用したオンライン集会を2回実施した。各自がこれまでに収集された資料(主にデータ)を用いて報告し、①アジア各地における雑貨の流通構造のマクロ的動向がかなりの程度明らかになったほか、②資料収集の問題もあって消費構造については依然として不明瞭な点が多いことが共有された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度も新型コロナウイルスの影響を考慮した研究を進めなければならない。雑貨の生産局面と流通局面では、基本的な数量データが収集済みで分析可能な状態にある一方、消費局面では、文書史料に多くを頼らなければならないため、これまでの状況が今後も続く場合は見通しが立てることが難しい。海外での資料収集を目指すことには変わりないが、現実的な対応としては、比較的可能性の高い国内での資料収集を目指して、生産者サイドから見た分析に研究を集中させることで、当初の計画と齟齬のない形で研究計画を完了させる。
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Research Products
(12 results)