2020 Fiscal Year Annual Research Report
回遊行動のリアルタイムデータベース化と動的回遊モデリングへの展開
Project/Area Number |
19H01546
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
斎藤 参郎 福岡大学, 公私立大学の部局等, 研究特任教授 (50111654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
栫井 昌邦 福岡大学, 経済学部, 教授 (10330896)
石橋 健一 愛知学院大学, 総合政策学部, 教授 (00333039)
今西 衞 日本文理大学, 経営経済学部, 教授 (80446111)
山城 興介 日本文理大学, 経営経済学部, 准教授 (00514150)
岩見 昌邦 福岡大学, 公私立大学の部局等, ポスト・ドクター (60629541)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 回遊行動 / 消費者行動モデリング / 都市エクイティ / Wi-Fiプローブセンサー / 大規模回遊行動データ / リアルタイムマイクロ回遊行動履歴データ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、リアルタイムに、ネットでの都心来街者数を把握するとともに、来街者の都心部内の回遊行動履歴データを計測把握し、データベース化することを目的としている。この研究目的の下、前年度研究計画で実施したJR熊本駅に開業した大型商業施設「JRくまもとシティ」開業前後の2021年3月から5月の約2か月間に、都心部内に設置した14カ所のパッシブWi-Fiセンサーから得られた大規模マイクロ回遊行動履歴データの解析システムの開発を行った。 今回、収集したWi-Fiプローブデータでは、場所の履歴のみであり、滞在時間などの情報を追加することが課題となっている。また、個人情報の保護の進展から、プライベートアドレスの利用がスマホで主流となっており、ダブリを除いた匿名化IDは、熊本市都心部の14センサーで約100万となっており、当初、もくろんでいたネットの都心部への来街者数の推定の目的は、再検討する必要が出てきた。 実際の計算では、14カ所で固有匿名化IDをベースに、14カ所を合体した素マイクロ回遊履歴データベースの計算の段階では、2000~3000万レコードの処理をすることになった。 このような課題を抱えつつも、今回のシステム開発では、14Wi-Fiセンサーをもとに、都心を4地区に区分した分析をIDのダブリを除いた全来街者の全回遊履歴パスを抽出することができ、回遊のサイクルに特別な処理を施すことで、熊本都心部に訪れた来街者の回遊パスを決定トリーとして表現できた。これは、これまでのODでは、必ずダブルカウンティングの問題が起こり、整合的な分析の妨げとなっていたことへの解決策であり、大きな成果といえる。 また、その結果の一部については、2021年6月に行われた「令和3年度すきたい熊本協議会 総会」にて報告され、地元でもその重要性の認識を共有しつつあるところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨今のコロナ禍による現地の中心商業地での実施の困難さに加え、個人情報保護の高まりによる、スマホのプライベートアドレスの普及から、個人を識別するIDをともなった回遊行動履歴データの収集が困難になりつつある状況である。 また、現地での社会実験を実施するため、コロナの収束を待っていたが、いまだ、現地の中心商店街での社会実験ができない状況となっている。 このような状況を鑑み、現在の情勢の変化に対応して、研究の方針の一部を変更し進めていく必要が出てきた。
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Strategy for Future Research Activity |
Wi-Fiプローブデータを用いたリアルタイム回遊行動履歴データベースの作成は、ネットでの都心部来街者数の推定を大きな目標としたものであったが、個人情報保護の進展で、プライベートアドレスの普及により、熊本都心部では、推定約10倍の1日あたり100万人のネットの入込者数との計測結果がでて、この目標の実現には、さらに別の観点から、研究が必要であることが認識された。 これについて、共同研究者と議論を重ねたところ、個人をベースのその行動履歴データを経常的に大量に集められるのは、キャリアであるとの結論に至った。 そこで、再度、キャリアが提供するデータを再検討したところ、提供されるのは集計データであるが、そのもととなっているのは、スマホ利用者の来街履歴データであり、これを科学的な方法で、加工すれば、これまで、集計データとしてしか扱われなかった提供データを、来街地ベースの一種の来街者マイクロ行動サーベイの集計結果とみなすことができ、これまでわれわれが開発してきた来街地ベースの回遊行動履歴調査の統計的方法を適用することで、マイクロ行動データとしての利点を活かし、マイクロ行動モデリングに活用する道を切り開けるのではないか、と考えている。
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