2019 Fiscal Year Annual Research Report
持続可能な社会を目指したイノベーション,戦略,MCSの総合的研究
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19H01547
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
國部 克彦 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (70225407)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東田 明 名城大学, 経営学部, 教授 (50434866)
東 健太郎 立命館大学, 経営学部, 教授 (20535843)
岡 照二 関西大学, 商学部, 准教授 (10599260)
金藤 正直 法政大学, 人間環境学部, 教授 (10451478)
北田 皓嗣 法政大学, 経営学部, 准教授 (90633595)
篠原 阿紀 桜美林大学, ビジネスマネジメント学群, 准教授 (60582517)
天王寺谷 達将 岡山大学, 社会文化科学研究科, 講師 (60709773)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 環境経営戦略 / イノベーション / 環境マネジメントコントロール / 温室効果ガス排出量の開示 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,持続可能な社会を構築するために,イノベーション,戦略,マネジメントコントロールシステム(MCS)の3者がどのような関係にあるのかを明らかにして,そのためのデザインを研究することが目的である。第1年度は,各サブテーマの領域の文献をサーベイし,調査フレームワークの設定や,2年目以降の質問票調査やインタビュー調査の設計に取り組んだ。 ①持続可能な社会システムを促進する情報開示研究では,CO2情報の開示や統合報告書等に焦点を当て,文献レビューおよび一部実証研究を実施した。特にCO2情報開示については,自主的な開示と強制開示の違いに焦点を当てている。また,アメリカおよびイギリスの研究者との国際調査のためのフレームワークも構築した。 ②環境経営戦略形成プロセス研究では,経営戦略に環境・サステナビリティ課題をどのように統合できるかについてリソースベースドビュー(RBV)および新制度派組織論に関する文献レビューを進めている。 ③環境マネジメントコントロールシステム研究(EMCS)では,EMCSに関する文献レビューを行うとともに,過去に実施したEMCSおよびCSRに関する調査結果をとりまとめて国際学会および日本の学会で報告した。 ④社会課題を解決するイノベーション研究では,戦略とEMCSが社会課題を解決するイノベーションをどのように創出するかについて,MFCAの役割および利益志向経営と環境志向経営の間のテンションに注目して文献レビューを進めた。 また,主に②,③,④の成果をもとに質問票調査とインタビュー調査の設計を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
①持続可能な社会システムを促進する情報開示研究では,CO2情報の開示や統合報告書等に焦点を当てながら,文献レビューとともに一部,実証的な研究を進めている。CO2情報の開示研究では,環境報告書等で開示されるCO2排出量と,環境省の温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度に基づくCO2排出量を比較することで,自主的開示と法制度に基づく強制開示のCO2排出量数値の動向の変化を捉えられるよう,分析を始めた。また,CSR報告書や統合報告書については,SDGsの考え方がどの程度反映されているかについて試論的に分析を進めている。 ②環境経営戦略形成プロセス研究ではサステナブル・バランスト・スコアカードの考え方を参考に,環境経営戦略構築の実践を分析する枠組みの構築を進めると同時に,戦略を組織的に推進するためのマネジメントコントロールシステムについて,業績評価指標に焦点を当てたレビューを進めている。また③環境マネジメントコントロールシステム研究(EMCS)では,環境経営戦略遂行において企業が直面するパラドックスに注目した文献レビューを進めており,このパラドックスを考慮したEMCS構築について考察するために,パラドックス理論を分析フレームワークへ反映することを検討している。こうした環境経営遂行上のパラドックスを考慮することは,④社会課題を解決するイノベーション研究においても重要であり,またそうした組織の考え方は情報開示戦略にも影響すると考えられる。 このように4つの個別のテーマごとに研究を進めると同時に,その相互関係について意識し,意見交換を行いながら,分析フレームワークの構築,ならびに質問票の作成に現在,取り組んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は4つの研究分野に分かれて実施する。令和2年度は,令和元年度の研究結果に基づき,質問票調査やインタビュー調査を実施するとともに,国際共同研究を進める。具体的な内容は以下の通りである。 ①持続可能な社会システムを促進する情報開示研究では,CO2情報の開示や統合報告書等に焦点を当てながら,日本企業の情報開示及び海外企業との比較研究を進める。日本と海外の相違に注目しながら研究を進める。タウソン大学のPark准教授との共同研究で,環境情報開示の日米比較調査を進めるともに,ヨーク大学のCho教授を招聘して国際研究動向の中での位置づけを検討する。 ②環境経営戦略形成プロセス研究では,経営戦略に環境・サステナビリティ課題をどのように統合できるかについてリソースベースドビュー(RBV)と新制度派組織論に基づき,インタビュー調査を実施する。創発型責任経営の企業導入のための,インタビュー調査を行う。 ③環境マネジメントコントロールシステム研究(EMCS)では,EMCSおよびサステナビリティMCS(SMCS)に関する日本企業の現状を分析し,一部日独比較研究も行う。昨年度設計した研究フレームワークに基づき,質問票調査を実施する。また,先進国モデルを東南アジア諸国に適用した場合の可能性についても検討する。 ④社会課題を解決するイノベーション研究では,戦略とEMCSが社会課題を解決するイノベーションをどのように創出するかについて,上記②,③と連動させて質問票調査を行う。環境経営のイノベーション事例として,マテリアルフローコスト会計を取り上げ,国際的な展開について研究を行う。
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Research Products
(17 results)
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[Journal Article] How Does Material Flow Cost Accounting Continue in Practice? The Effective Policy form of Questionnaire Survey2019
Author(s)
Tennojiya, T., Higashida, A., Kitada, H. and Kim, I.
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Journal Title
Kokubu, K. and Nagasaka, Y. (Eds.), Sustainability Management and Business Strategy in Asia, WSPC
Volume: ―
Pages: 81~94
Peer Reviewed
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