2019 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域と地方都市間の関係分析による人口減少社会モデルの生活構造論的構築
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19H01562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高野 和良 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20275431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 努 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (60174801)
牧野 厚史 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10359268)
稲月 正 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (30223225)
加来 和典 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (80214261)
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 教授 (90271098)
山下 亜紀子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (40442438)
松本 貴文 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (70611656)
益田 仁 中村学園大学, 教育学部, 講師 (20551360)
吉武 由彩 福岡県立大学, 人間社会学部, 講師 (70758276)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活構造 / 人口減少 / 過疎地域 / 地方都市 / 少子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、過疎地域と地方都市の生活構造を包括的に把握するための方法論(地域生活構造分析)の確立と、これを用いて把握された実態に基づいた人口減少社会における総合的な地域社会の維持再生モデルを構築することである。2019年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (a)先行して実施した社会調査結果(鹿児島県大島郡伊仙町調査、山口県萩市大島調査・相島調査等)の再分析を行い、本研究の目的のひとつである、過疎地域とその過疎地域を内包する地方都市との関係性の把握の必要性を加味したうえで、西日本社会学会第77回大会(2019年5月25~26日、佐賀大学)において、「離島住民の地域意識と福祉意識の現状分析に向けて―徳之島(伊仙町)での社会調査結果から―」(報告者:高野和良)、「離島における人口還流と住民の定住経歴の現状分析に向けて―徳之島(伊仙町)での社会調査結果から―」(報告者:山本努)として報告を行った。 (b)2020年1月25日に鹿児島県大島郡伊仙町未来創生課が地域住民向けに実施した「わたしたちの幸せ再発見シンポジウム―住民意識から総合戦略へ―」において、伊仙町調査の結果を報告した。報告題目等は、「伊仙町住民の生活構造分析―伊仙町住みよい地域づくりアンケート結果から―」(報告者:高野和良)、「伊仙町における子育ての実態」(報告者:山下亜紀子)、「伊仙町における出生率の高さの社会学的説明」(報告者:徳野貞雄)である。 (c)地域生活構造分析用の調査票作成に着手した。研究分担者間で検討しながら、過疎地域と地方都市間の関係分析を行うための調査項目を慎重に検討しつつある。その際、比較分析のために、これまで実施してきた先行調査の調査項目などを積極的に活用することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度は研究代表者(高野)と研究分担者による合同研究会を2回開催した(第1回:2019年7月18日、熊本大学。第2回:2019年12月15日、鹿児島女子短期大学)。研究会では、研究分担者が各自で実施してきた社会調査結果(2次分析)結果の共有、2020年1月に実施した鹿児島県大島郡伊仙町での報告会の開催方法などを検討した。研究会での検討を踏まえ、先の「研究実績の概要」で述べたように、2020年1月25日に鹿児島県大島郡伊仙町での住民対象のシンポジウムにおいて、本研究で得られた知見に基づき、報告会を実施できた。研究成果の一端を広く社会に還元するという点で、大変有意義であったと自負している。 また、伊仙町住民の生活構造の実態把握のために実施した社会調査結果の知見をもとに、研究分担者とともに、学会での報告を行った。人口還流と住民の定住経歴や終末期への対応に関する分析結果からは、過疎地域とその過疎地域を内包する地方都市との関係性を把握する分析枠組みの必要性があらためて確認できた。 さらに、上記伊仙町での報告会における質疑等は、本研究の目的のひとつである地域生活構造分析を実施するための調査票の質問項目の検討にも有益であった。これらとともに、研究会での検討なども踏まえて、過疎地域と地方都市間の関係分析を行うための調査項目を検討し、調査票の作成にも着手することができた。 以上のことから、本研究は、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度の研究計画は次の通りである。まず、(a)2019年度からの継続として、先行実施した社会調査結果(2018年に実施した鹿児島県大島郡伊仙町調査、2019年1月に実施した萩市大島調査・相島調査など)の再分析を行う。 また、(b)各研究分担者が作年度実施した社会調査 (フィールドワーク)結果の共有を図りつつ、それらの2次分析を行う。 さらに、(c)2020年1月に伊仙町で実施した地域住民向けの調査結果報告会をふまえ、現地での小規模な調査結果報告会の開催可能性を検討する(校区単位といった小規模な地域単位で、報告内容(生活課題)を絞り込むことで、地域住民との意見交換を重視するような住民報告会を想定している)。 これらの研究を実施するため、研究会を福岡市や調査対象予定地などで定期的に開催し、各研究分担者の有する専門領域の知見を相互に共有し、共同研究を円滑に実施できるようにする。なお、地域生活構造分析調査の結果分析に基づく総合的な地域維持モデルの検討は、主に最終年度に行う予定である。また、本年度は研究成果報告を積極的に行うこととし、上述した報告会の実施検討とあわせて、各研究分担者とともに途中経過段階であっても学会等での報告を検討し、さらに論文としての公表も目指したい。 なお、Covid-19感染拡大の状況は予断を許さず、現地への移動をともなうフィールドワーク等の実施にあたっては、実施の可否も含め慎重に見極めながら対応する。また、状況によっては今年度の社会調査実施を見送ることも検討する。その際は、研究代表者と研究分担者間の情報共有や意見交換をいっそう密にし、先行調査の2次分析などを徹底的に行うことで、研究目的を実現すべく研究活動を行いたい。
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Research Products
(22 results)