2020 Fiscal Year Annual Research Report
過疎地域と地方都市間の関係分析による人口減少社会モデルの生活構造論的構築
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19H01562
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
高野 和良 九州大学, 人間環境学研究院, 教授 (20275431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 努 神戸学院大学, 現代社会学部, 教授 (60174801)
牧野 厚史 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 教授 (10359268)
稲月 正 北九州市立大学, 基盤教育センター, 教授 (30223225)
加来 和典 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (80214261)
速水 聖子 山口大学, 人文学部, 教授 (90271098)
山下 亜紀子 九州大学, 人間環境学研究院, 准教授 (40442438)
松本 貴文 國學院大學, 研究開発推進機構, 准教授 (70611656)
益田 仁 中村学園大学, 教育学部, 講師 (20551360)
吉武 由彩 熊本大学, 大学院人文社会科学研究部(文), 准教授 (70758276)
井上 智史 中村学園大学短期大学部, 幼児保育学科, 講師 (00880460)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生活構造 / 人口減少 / 過疎地域 / 地方都市 / 少子化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、過疎地域住民と地方都市住民の生活構造を包括的に把握するための方法論として地域生活構造分析を行い、地域社会の実態に基づいた人口減少社会における地域社会の維持再生モデルを構築することにある。2020年初頭から新型コロナウイルス感染症が拡大し、緊急事態宣言などの影響も大きく、今年度は研究計画の大幅な見直しを迫られた。現地での意見交換会などの実施は延期せざるを得ず、研究費の繰り越しを行うこととし、実施の機会を見極めることとした。研究活動も大きく制約されたが、研究分担者等とのオンライン方式で意見交換などを行うことなどによって、2021年度に過疎農村における社会調査を実施するための準備を進めた。こうした点を含めて、2020年度の研究実績の概要は以下の通りである。 (a)過疎地域とその過疎地域を内包する地方都市との関係を把握するための社会調査の実施に向けて、調査票の作成準備を行った。そのため生活構造分析に関する先行研究を検討し、調査対象地域である山口県萩市田万川地区の人口等の実態把握のため統計資料の確認を行った。 (b)フィールドワークなどの実施が制限されたため、調査対象予定地域で過去に実施してきた社会調査結果の再分析などを行った。次年度実施予定の社会調査で使用する調査票について、継続使用する質問項目、削除可能な質問項目などの検討を行い、検討を行った。 (c)研究結果の社会的還元のために2019年度に実施した鹿児島県伊仙町での報告会に続き、現地での意見交換会などを行う予定であったが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大のため年度内には実施できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言の発出による移動制限などもあって、研究会やフィールドワークの実施が大きく制限された。こうした状況ではあったが、オンライン方式での研究打ち合わせなどに切り替えながら、研究代表者(高野)と研究分担者間の意見交換などを実施した。2020年1月25日に鹿児島県大島郡伊仙町で実施された伊仙町民対象シンポジウムでは、本研究の知見の一端を報告したが、さらに校区などの小規模な地域範囲で地域住民と意見交換しながら知見の検証を行うことは、感染拡大によって見送らざるを得なかった。この点に対応するために、2022年度まで研究費の再繰越承認を得て、感染状況が比較的落ち着いてきた2023年2月と3月に、研究分担者が伊仙町で行政関係者などと意見交換を行い、また、住民に補足的な聞き取り調査を実施した。聞き取り調査では、本研究の目的である地域社会の実態に基づいた人口減少社会における地域社会の維持再生モデルの検討にあたって、人口再生側面にあたる育児中の世代を中心に聞き取りを行い、本研究の知見を補強することができた。 前後するが、2020年度に実施予定であった社会調査の実施は、現地関係者からの延期要請もあって実施できなかった。一方で、現地で過去2回実施してきた社会調査結果の再検討などを行うことなどによって、過疎地域と地方都市間の関係分析を行うための調査項目を検討し、調査票作成に十分時間をかけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度の研究の推進方策は次の通りである。まず、(a)2019年度からの継続として、先行実施した社会調査結果(2018年に実施した鹿児島県大島郡伊仙町調査、1998年と2011年に実施した山口県萩市田万川調査など)の再分析を行う。また、(b)伊仙町において校区単位などの小規模な地域単位で、生活課題などに絞った社会調査結果報告会の開催可能性を検討する。 これらの研究を実施するため、オンライン方式なども活用し各研究分担者との意見交換などを進め、地域生活構造分析調査の結果分析に基づく総合的な地域維持モデルの検討を行うこととしたい。 なお、Covid-19感染拡大のため、現地への移動をともなうフィールドワーク等の実施にあたっては、実施の可否も含め慎重に見極めながら対応することを継続した。この間、調査対象地域も慎重に検討し、これまで2回の社会調査を実施してきた山口県萩市田万川地区を調査対象地域とすることとし、研究代表者と研究分担者間の情報共有や意見交換を繰り返し、昨年度に引き続き先行して実施してきた既存の社会調査の2次分析などを行うこととしたい。感染状況をみながら、フィールドワークや社会調査の実施に向けて準備を十分に行うなど、研究目的を実現すべく研究活動を行いたい。 こうしたなかで、感染状況によっては2021年度の社会調査実施を見送ることも検討していたが、感染が比較的落ち着いてきた9月以降から準備を本格的に進め、現地の行政や社会福祉協議会関係者と協議しながら、2021年12月に本調査を実施することができた。短期間での実査の準備を行えたのも、従前から現地との関係を維持できていたためと考えている。 これらの研究方策を進めながら、田万川地区での社会調査結果の集計分析を行い、地域社会の実態に基づいた人口減少社会における地域社会の維持再生モデルの構築を目指す。
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Research Products
(18 results)