2019 Fiscal Year Annual Research Report
青少年の性行動・性意識の変化・メカニズムに関する総合的研究と性教育への展開
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19H01572
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
林 雄亮 武蔵大学, 社会学部, 准教授 (30533781)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 秀一 明治学院大学, 社会学部, 教授 (00247149)
片瀬 一男 東北学院大学, 教養学部, 教授 (30161061)
土田 陽子 帝塚山学院大学, 人間科学部, 教授 (30756440)
羽渕 一代 弘前大学, 人文社会科学部, 教授 (70333474)
守 如子 関西大学, 社会学部, 教授 (70454593)
石川 由香里 活水女子大学, 健康生活学部, 教授 (80280270)
苫米地 なつ帆 大阪経済大学, 情報社会学部, 講師 (90782269)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 性行動 / 社会調査 / 青少年 / 性教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元(2019)年度は、第1に、2017年に実施した「第8回青少年の性行動全国調査」に含まれるさまざまな質問項目についての分析・考察を一般読者向けにまとめた図書『「若者の性」白書 第8回青少年の性行動全国調査報告』に関する研究会を複数回実施し、図書を8月に刊行した。内容には青少年の性行動の趨勢分析、青少年の性規範・性意識、性行動と家庭環境や親子のかかわり、性に関する知識・態度・行動の観点からみた性教育の現状、青少年の性行動と所属集団の性行動規範、青少年の避妊行動の実態、性的被害、青少年の性についての悩みの分析などが含まれており、さまざまな側面から青少年の性について考察したものである。本書には、「第8回青少年の性行動全国調査」の基礎集計表や1974年に実施された第1回調査以来の長期時系列データを掲載していることから、一般読者だけでなく、学校関係者、保健・医療関係者、その他の研究者にも重要なデータを提供するものとなっている。 第2に、中国の上海社会科学院との共同研究を進めた。2017年に実施した「第8回青少年の性行動全国調査」とほぼ同時期におこなわれた中国3都市における調査データとの比較分析により、両国の青少年の性行動の現状と変化について、相対的な視点から考察することが可能となった。6月には上海にてシンポジウムが開催され、本研究課題の複数の研究分担者が登壇した。 第3に、研究代表者・分担者が「第8回青少年の性行動全国調査」データを用いたそれぞれの分析結果を、各種学会やセミナー、講演会にて報告した。その多くは招待公演であり、社会的ニーズが高いテーマであることに加えて、質の高い調査研究であることを一般に評価された結果といえるだろう。またセクシュアリティに関する国際的最大規模の学術団体であるWASの学会大会でも研究代表者・分担者らが報告をおこない、国際的にもその研究成果をアピールした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に示した通り、本研究課題の申請時の計画をおおむね順調に遂行している。ただし、国際比較研究については、今後の発展可能性を吟味した結果、中国との比較研究については刊行した報告書をもって一定の成果が得られたものとし、次年度以降の研究を打ち切ることとした。他方で韓国の調査データを得ることができたため、次年度以降は韓国との比較分析に焦点を当てる方針に転換する。 令和2年に入ってからは新型コロナウィルス感染拡大の影響を受け、2月に予定していた研究会を中止とせざるを得なかったが、このことによる研究の遅れはそれほど大きくはない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策として、第1に、『「青少年の性」白書 第8回青少年の性行動全国調査報告』に所収された各論文について、さらなる進展を目指した研究論文の作成とそのための研究会を開催する。研究会は原則として東京にて実施する予定だが、社会状況によってはオンライン会議等の方法も検討する。またこれに関連して、研究会メンバーは研究書籍の刊行を目指した執筆活動を続けていく。 第2に、研究成果の国内外への発信である。すでに本研究の成果はさまざまなメディアで取り上げられ、研究会メンバーはセミナー、シンポジウム等で多数の講演をおこなっているが、本年度も引き続きこの活動を進めていく。特に11月には日本の性科学に関する6つの学術団体が共催する「全国性科学連合セミナー」にてシンポジウムが企画されており、そこでこれまでの本研究の総合的な成果を発表する予定である。その他、国内外の学会での成果報告や、マスメディアを通じた研究成果の社会還元をおこなっていく。 第3に、調査データの整備と確認をおこなう。具体的には、第8回調査データのデータアーカイブへの寄託作業として、データの再クリーニング、 秘匿処理、過去のデータとの接合可能なデータの作成をおこなう。また調査票原票のPDFデータ化を進め、調査票をデジタル化して保存する作業をおこなう。
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Research Products
(29 results)