2020 Fiscal Year Annual Research Report
子どもの貧困を支援するスクールソーシャルワークの介入プログラム構築とその評価
Project/Area Number |
19H01600
|
Research Institution | Nihon Fukushi University |
Principal Investigator |
野尻 紀恵 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (70530731)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐脇 幸恵 日本福祉大学, 福祉経営学部, 助教 (30513791)
藤井 博之 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (40756590)
川島 ゆり子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (50507142)
鈴木 庸裕 日本福祉大学, 教育・心理学部, 教授 (70226538)
奥村 賢一 福岡県立大学, 人間社会学部, 准教授 (90584699)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | スクールソーシャルワーク / 子どもの貧困 / 介入プログラム / 多職種連携 / プログラム評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
学校教育法施行規則の一部改正で、学校において児童の福祉に関する支援を行う学校職員として法的に位置づけられたスクールソーシャルワーカーに期待されているのは、「スクールソーシャルワーカーは、ソーシャルワークの価値・知識・技術を基盤とする福祉の専門性」であるが、その専門性の分散がどの程度であるのかについて検証する。 本研究では、市町村教育委員会で取り組まれているスクールソーシャルワーク実践事業の中でも、子どもの貧困の課題の軽減に向けたスクールソーシャルワーク実践活動に着目し、子どもの貧困への支援方法を調査する質問紙調査データと、スクールソーシャルワーカーへのグループインタビュー調査、スクールソーシャルワーカー養成担当教員へのインタビュー調査のデータを統合し、子どもの貧困への支援手順書のモデルを構築する。 さらに、対象群を設けた研究デザインに基づいて、モデル手順書を用いた子どもの貧困への支援がどのような子どもや家庭に届いているのか(プロセス)、また、それらのスクールソーシャルワーク実践活動の進行による子どもの貧困対策への効果(アウトカム)、将来的な生活困窮の予防にもたらす効果(インパクト)の状況という、プログラム評価を行う。 上述により、エビデンスに基づく実践に寄与する研究を目指す。、生活困窮者の自立支援や子どもの貧困への関心が高まるなか、その予防や軽減という社会生活上の困難にかかわる社会福祉課題に着目しながら、質の高い実践・調査データを統合した「子どもの貧困への支援手順書のモデル構築」と、このモデル手順書に基づくスクールソーシャルワーク実践の具体的方法を研究者と実践者が共同して導入することにより、スクールソーシャルワーク実践の質の向上とともに、社会福祉学におけるプログラム評価研究を図る
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2020年度から全国のスクールソーシャルワーカー雇用が概ね会計年度任用職員という形態に変更されることが2019年秋に確定したため、2019年度に予定していた全国のスクールソーシャルワーカーへの質問紙調査、スクールソーシャルワーカーへのインタビュー調査は、雇用形態が変更してから行った方が良いと判断した。よって、2020年度にこれらの質問紙調査とインタビュー調査を行った。そのため、2019年度に予定していたスクールソーシャルワークのモデル手順書の作成も2020年度に行った。 モデル手順書を用いて、スクールソーシャルワーカーが「子どもの貧困」への支援を実践し始めようとしたが、2020年度は新型コロナウィルス感染症の影響により、教育委員会や学校の運営が通常とは異なる状況となり、スクールソーシャルワーカーの実践も変更せざるを得なくなっていた。そのため、無理な実践の試行を行うことができず、モデル手順書を用いてのスクールソーシャルワーカーによる「子どもの貧困」への支援実践の記録が2021年度にもずれ込むことになった。
|
Strategy for Future Research Activity |
スクールソーシャルワークのモデル手順書を用いて、3つの自治体のスクールソーシャルワーカーが「子どもの貧困」への支援を実践する(2021年度前半)。その際、研究者と実践者および行政(教育委員会)がチームとなること、多職種連携と地域連携を視野に入れてアクションリサーチすることにより、支援の信仰の様子を記録する。 具体的な実践フィールドは、次の3自治体である。①研究代表者が既にスクールソーシャルワーク事業スーパーバイザーとして関わりを築いてきた一宮市(愛知県)、②研究代表者が福祉教育や不登校支援のための研修を通して学校現場と信頼関係を築き2019年度からスクールソーシャルワーカーを導入することになった武豊町(愛知県)、③研究分担者がスクールソーシャルワーク事業スーパーバイザーとして関わりを築いてきた福岡市 2021年度後半は、モデル手順書を用いた子どもの貧困への支援による変化を解析する。主な指標には、子どもの孤独感、抑うつ傾向、子どもの夢の出現、子どもの学習に向かう姿勢の変化、登校状況の変化、進路状況、家の中の整理状態、ソーシャルサポート、社会的ネットワークの規模と頻度、などを予定している。その際、「子どもの貧困」への支援を粘り強く、長期に渡って展開するために欠かせないコミュニティソーシャルワーカーや生活困窮者自立支援のワーカーなどとの連携のあり方、さらには、教員や医師、保健師、といった専門職との連携や地域住民との協働などの視点と方法についてのソーシャ ルワーカーの変化も解析する。あわせて、生活困窮支援や貧困研究の先行研究から得られた知見を活用し、将来的な生活困窮の予防にもたらす効果を検証する。
|
Research Products
(3 results)