2019 Fiscal Year Annual Research Report
The social costs of child maltreatment in Japan
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19H01602
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Research Institution | Hanazono University |
Principal Investigator |
和田 一郎 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (10711939)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
五十嵐 中 横浜市立大学, 医学部, 准教授 (20508147)
川並 利治 金沢星稜大学, 人間科学部, 教授 (50756541)
吉永 純 花園大学, 社会福祉学部, 教授 (70434686)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 児童虐待 / 社会的コスト / 社会保障 / 社会政策 / データサイエンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の概要は、逆境的体験(ACE)の視点を取り入れた「わが国初の子どもへの不適切な養育(マルトリートメント)の社会的コスト」を算出することである。わが国の児童虐待の社会的コストは2012年度分が算出されている。児童虐待の概念は近年変わりつつあり、最近は不適切な養育(マルトリートメント)が包括的な児童虐待の概念として取り入れられている。そのため米国を中心に児童虐待から一歩進んでマルトリートメントの影響についての研究が進みつつあり、そのコスト研究も実施されている状況である。 本年度は、わが国の5年後(2017年度)のコストを算出するための基礎資料の収集を目的とした。そのため、他国の現状を把握するために国内外の関連学会に参加し、情報収集を行った。結果としてコストを推計するためのモデルやエビデンスがUSやNZを中心に発展してきており、これまでのモデルをそのまま用いたりすることは難しいと判明した。よって最新の手法を各国の研究者及び本研究共同研究者と検討を重ねた。その結果、日本には他国にはある公的データが足りない状況が前回よりもさらに進んでおり、このままではマルトリートメントのコストが算出することが難しいことが判明した。よって、わが国の他分野(特に生産性等の算出を行う分野)を参考にして共同研究者と検討を重ね、他国のデータを準用するよりも、新たに調査を実施してエビデンスを集めた方が望ましいという結論になった。そのためまずは基礎データを作り、何が足りないのかを明らかにして、それを補う調査計画を5つほど立てた。その研究のうちの一つの住民調査に関しては、既に実施しており、わが国の広範なマルトリートメントの被害率などが算出できる基礎データが集まった。今後はこのデータの詳細解析や、研究計画通りの調査を行い、社会的コストのモデル作成を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
1年目は児童虐待についてデータ収集とモデルの検討を中心に行う予定であった。しかし国内外の研究者に有用なモデルの紹介や分析ツールをいただくなど思いがけない進展があるとともに、マルトリートメントの測定指標のツールであるACEについて、公衆衛生を中心とした研究が国内の研究者でも実施されており、その分析手法が明らかになってくるなどの学術的進展があった。よって本年度については、児童虐待だけでなくマルトリートメントの研究まで進展することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
【今後の研究の推進方策】 ・ACE調査、海外のACE及びその関連研究の把握 ・推計モデルの検討 【問題点】コロナウイルス対応のために下記の課題がある。 ・人口調査では面接調査や訪問調査が難しいこと。 ・国外のデータセンター視察や国際学会発表のスケジュールが未定。
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