2020 Fiscal Year Annual Research Report
Research on Internationalization of Education Research: Focusing on the roles of academic associations
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19H01621
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
米澤 彰純 東北大学, 国際戦略室, 教授 (70251428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Rappleye Jeremy 京都大学, 教育学研究科, 准教授 (00742321)
廣田 照幸 (広田照幸) 日本大学, 文理学部, 教授 (10208887)
松浦 良充 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (30209499)
北村 友人 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30362221)
石川 裕之 京都ノートルダム女子大学, 国際言語文化学部, 准教授 (30512016)
李 敏 信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 講師 (30531925)
松河 秀哉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 講師 (50379111)
山田 浩之 広島大学, 人間社会科学研究科(教), 教授 (60258324)
森下 稔 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (60300498)
油布 佐和子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (80183987)
山名 淳 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (80240050)
鎌田 武仁 上智大学, グローバル教育センター, 研究員 (50869518)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 教育学 / 学会 / 国際化 / アジア / 学術 / 教育学研究 / 人文社会科学 / グローバル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本における教育学研究の国際化の現状と課題に関し、教育学関連諸学会のあり方に焦点を当てた国際的視野に立った調査・分析を行い、グローバル社会の進展における日本の教育学研究の国際化・国際展開・国際交流を通じた研究の国際発信強化への方途を探ることを目的としている。具体的には、研究を支える組織・ネットワークの基盤となる学会を研究対象に設定し、①日本における教育学関連諸学会の国際化に向けた活動や体制の実態調査・分析、②海外(特に非英語圏諸国)における教育学関連諸学会の国際活動の実態調査・分析、③教育学関連諸学会の国際ネットワークや世界・地域レベルの国際学会の実態調査・分析を行い、④それによって、教育学研究の組織・ネットワーク基盤である学会の国際的あり方が各国の教育学研究に与えている影響と、その中での日本の位置づけと課題を特定し、日本の教育学関連諸学会の国際化とその波及効果としての日本の教育学研究のさらなる国際化に向けた課題と方策について考察し、展望を示す。 新型コロナウイルスの世界的な流行により、本年度に予定していた①、②、③の実態調査を訪問調査として行うことが不可能となった。一方で、パンデミックによって教育学が国際的に果たすべき役割が問い直され、上記の④について、具体的に教育学研究の国際ネットワークを通じて課題を共有し、解決に向けて協力する必要が生じた。 そこで、研究当初の目的を堅持しつつ、国内の調査を設計し、オンラインに切り替えた上で国内の教育学関連の主要学会に対してヒアリング調査を実施・分析した。 さらに、世界共通課題となったパンデミック下での教育や学びの支援をテーマとして教育学研究の国際的な役割について議論を重ね、成果を日本教育学会WEB座談会(ドイツ・世界教育学会前会長、米国、英国、中国、台湾、韓国の研究者を招聘)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
パンデミックにより対面での会合が困難となり、また世界の教育の在り方や方向性が問い直される中で、各国の教育学関係リーダーとのオンラインによる国際対話を重視し、国内外の実態調査の進め方について検討を重ねた。 国際Web座談会の成果を『教育学研究』に実施報告として掲載した。この中で、パンデミックのような世界共通課題に対して各国で多様な工夫が重ねられており、国際的な連帯と研究協力が教育学の分野でも強く求められ、また有効であることが明らかになった。さらに、国際調査に関しては、パンデミックで海外渡航が厳しく制限されていることから、地域を絞った上でオンラインで調査を実施する準備を進めた。有識者の間での国際対話をシンポジウム等を実施しながら考察を進めるアプローチを取り、世界教育学会、日本教育学会、日本比較教育学会などで世界各国の教育学研究リーダーを招聘した国際シンポジウムや課題研究セッションを行うべく、準備を進めた。 オンラインに切り替えて実施した国内の教育学関連諸学会の実態調査については、パンデミックによって教育学の国際的な在り方そのものに大きな変化がもたらされたことを踏まえて調査設計を進めた。国内の教育学関連の主要学会に対して調査を実施し、分析を進める中で、教育学の国際交流、国際活動、学会国際化の在り方について学会ごと、また同じ学会内でも大きく考え方や意識の違いが見られることから、当初予定していた実践的な学会まで含めた計量的なアプローチよりも、複数の視点やエビデンスを総合的に積み重ねていく分析アプローチ(トライアングレーション)が有効であることが明らかになった。 なお、パンデミックにより調査や国際シンポジウムの実施のタイミングや方法が見通せない時期が続き、2020、2021年度への繰り越し、再繰り越しを行い、最終的には計画していた活動を概ね実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
教育学研究の国際化が進む中で、日本の教育学研究が世界に対して発信できる独自性や優位性を維持・強化するにはどのようにすればよいか。これには、国内外の教育学研究の動向を把握し、日本独自の教育課題や文化を踏まえた研究成果の創出が求められる。次年度は、今後の教育学研究の国際化とその波及効果としての日本の教育学研究のさらなる国際化に向けた課題と方策について考察し、展望を示す。 本年度設計・実施した国内主要学会への実態調査及び教育学研究の国際リーダーとの対話によって、パンデミックのような世界共通課題に対して各国で多様な工夫が重ねられており、国際的な連帯と研究協力が教育学の分野でも強く求められ、また有効であることが明らかになった。他方で、日本の各学会の専門分野、研究と実践とのバランス、さらには個々人の認識が、それぞれの国際的な経験の多寡や性格によって大きく異なることがわかった。実践家の会員を多く抱える学会は教育学研究の国際発信を主眼とする本研究課題とスコープに違いが見られることから、学会数は限定した上で深く複合的に探索することとする。 また、国際学会、外国学会については、研究期間終了までに海外渡航ができない可能性を踏まえ、国際対話、限定したオンライン調査の着実な実施を目指すこととする。 学会の国際化戦略の策定や、国際協力・交流を促進するための支援体制の整備、研究者や若手研究者の国際的な視野やスキルの育成など、今後の課題が明確になった中で、次年度に実施する若手研究者への調査については、ワークショップを通じて具体的に英語での論文執筆を行い国際発信をする過程を若手研究者と共有する中で、一緒に日本からの教育学研究の有効な国際発信のあり方について議論を重ねていくことにする。
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Research Products
(17 results)