2020 Fiscal Year Annual Research Report
Empirical Research for Developing a Model of Realizing Secure and Safe School Environment in Nepal
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19H01641
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
石田 洋子 広島大学, 教育開発国際協力研究センター, 教授 (20772461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 学校運営 / 防災教育 / ネパール / 地震復興 / 参加型評価 / 地方分権化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学校運営に防災教育及び参加型評価を有機的に組み合わせて、学校運営を持続的に機能させる「安全で安心な学校づくりのための開発モデル」を提案し、その有効性について実証的研究を行うことを第一の目的とする。同時に、JICA支援で強化が図られた学校運営が、地震からの復興プロセスとネパール政府の連邦制導入により教育行政の分権化が進む中で、どのように機能しているのかを確認し、日本型国際教育協力の特徴と課題を考察することを第二の目的としている。 2020年度は現地での活動が十分に行えない分を、2019年度末(2020年1月)のネパール訪問で対象校に配布した校長及び教員対象アンケートの収集と分析を現地のパートナー(NGOメンバー)と協力して実施した。このアンケート調査は実践重視の本研究のベースライン調査に相当し、1)各学校の2015年4月のネパール地震からの復興プロセスの振り返り(校長対象)と、2)対象校における学校運営の状況と防災活動に関する現状と課題(校長・教員・保護者対象)の2種類を行った。 並行して、上述の通り現地学校訪問が難しいこの時期に、本研究の基礎データを収集することが有益と考え、ネパールにおける教員の雇用状況と教員としての専門家意識を理解するために、3)「Teacher Professional Identity」(教員になった動機、社会的地位、研修状況等)に関するアンケート(教員対象)も実施した。 ネパール側パートナーとは、オンラインでの意見交換や情報収集を行いながら、データ収集と分析を進め、参加型評価の観点から論文作成を目指している。今後は、防災教育に加え、新型コロナによる学校への影響についても情報収集を行う予定である。 また、本研究のホームページ(和英:http://bosai.school/)を立ち上げ、情報発信の体制を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2019年度末(2020年1月)まではほぼ予定通りに進んでおり、ネパール側のパートナーであるNGOメンバーが、旧ダディン郡と旧ゴルカ郡(現在は「郡」の行政区分はなくなったが、実質的にはまだ使われている)の対象校を対象に、ベースライン調査のアンケートを配布・回収し、そのデータ分析は予定通り進んでいる。 また、本研究のホームページ立ち上げについても、予定通り年度内に実現できた。 一方、ネパールでは、感染者数が少ない段階から政府がロックダウンを実施し、学校は閉鎖された。現在は、ロックダウンは解除されたが、感染者は増加傾向にあり、市中の感染状況は十分に把握されていない状況にある。このような中、社会経済活動は徐々に再開されつつあったが、外部者が学校を訪問してワークショップなどの活動を実施することは困難な状況にあった。 このため、当初予定していたネパール側パートナーを中心に、対象校において教員・学生・住民参加により、地震復興からの振り返りを行い、防災計画を策定するワークショップは開催できていない。 ただ、上述の通り、ネパールでは社会経済活動が元に戻りつつあることから、同国国内移動や学校の状況をみながら、ネパール側パートナーの協力を得つつ、研究代表者もオンラインで参加するなどして、ワークショップを実施していくことで遅れは取り戻せると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、2020年度には、ベースライン調査のデータ収集と追加的に行ったネパールの教員に対する意識調査アンケート票は収集できた。一方、新型コロナ感染拡大も考慮して、ネパール側パートナーによる対象校での参加型評価のワークショップの開催はできていない。 2021年度は、ベースライン調査のデータ分析と不足するデータの追加収集(オンラインによるデータ収集)を行うとともに、追加的なアンケート調査の分析を進める。 現在、ネパールでは、コロナ禍でも社会経済活動は復活しつつある。現在は雨期に入りつつあるが、10月以降、乾季に入って道路事情がよくなり、対象校へのアクセスが物理的にも可能となれば、ネパール側パートナーを中心に、研究代表者はオンライン参加をして、参加型評価ワークショップを実施する。 研究代表者は、これまでのデータ分析及びワークショップの結果を踏まえて、学校運営改善へ向けてのモデル開発を行うとともに、2021年度に、ネパールにおいて開発したモデルの実装と、エンドライン調査のあり方を検討し、次(2022)年度の展開へ向けての準備を進める。 ネパール側パートナーとの連絡を密にし、ICTを活用して、オンラインでの打合せやワークショップを展開し、またホームページを通しての発信を強化することによって、本研究全体所期期の目的を達成することは可能と考える。
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Research Products
(3 results)