2019 Fiscal Year Annual Research Report
科学的な探究の特徴から理科授業を省察する教師教育プログラムの開発に関する研究
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19H01663
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
益田 裕充 群馬大学, 教育学部, 教授 (30511505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 圭司 横浜国立大学, 教育学部, 教授 (00224501)
藤本 義博 岡山理科大学, 理学部, 教授 (60173473)
片平 克弘 筑波大学, 人間系, 教授 (70214327)
久保田 善彦 玉川大学, 教育学研究科, 教授 (90432103)
栗原 淳一 群馬大学, 教育学部, 准教授 (90583922)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 理科授業 / 探究の過程 / 教師教育プログラム |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究実績は論文(査読付)5報、学会発表(国内、全国大会)4報となる。特に、研究代表者が発表した「大学生の理科授業を構想する能力に関する研究-理科授業デザインベース構造化シートを用いた課題の抽出-」と「理科授業における解決方法の立案に関する研究-自然事象の提示から予想・仮説の設定と検証計画の立案の局面の関係に着目して-」は、研究の柱となる「理科授業における探究の過程」や「養成教育」「教師の熟達」に求められる能力の育成にとって重要な研究の骨格となる論文として示すことができた。代表者および分担者は、これまで学生を対象としたプログラムとして、模擬授業から授業カンファレンス・授業リフレクションをサイクル化するプログラムの有効性を実証してきている。これを構造化シートとして汎用性の高いものへと発展させる研究の成果を示すことができたのである。さらに、研究分担者の発表論文として「探究の過程」や「実験計画の立案」といった理科授業のデザインベースとなる研究の知見を示すことができた。学会発表では日本理科教育学会全国大会を中心に成果の一部を公開することができた。 本研究の核心をなす学術的な「問い」は,DBRの概念を援用し新学習指導要領理科で示された科学的な探究の過程に着目し,この成立の条件とその授業で培われる子どもの資質・能力の評価を切り離さず研究者の介入による効果的な協議手法を検討しながら,実際の理科授業を教師同士に協議させ,学び続ける教師教育プログラムを開発することにある。こうした点で、研究初年度に研究代表者が研究の成果として今後の研究推進の中核となる論文をまとめ、その成果を示すことができたのである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究実績は論文(査読付)5報、学会発表(国内、全国大会)4報となる。こうした点で研究が組織的に行われ、おおむね順調に進展した証と考えられる。当初の本年度の研究推進計画では、本年度を【資料収集・研究開始期】と位置づけ、「研究の柱となる科学的な探究の過程とコア仮説を,研究代表者・分担者と協力者で協議・共有し,新学習指導要領のもとで行われる全国の小中学校の理科授業および研究協力者の理科授業をVTR録画し収集する」こととしている。この取組は進んでいるが、同時に、研究の2年目を【実証前期】と位置づけ、「学習共同体コミュニティを代表者・分担者が運営し抽出された授業を省察する授業協議を開始する。研究代表・分担者が積極的に介入しながら,文脈と切り離さず科学的な探究の過程の成立を契機にした協議と子どもの資質・能力形成の実態を連動させ,評価する手法の試行と改善を反復して繰り返す。また,科学的な探究の過程を成立させるリソースを開発したり,必要に応じ教師と子どもに対する面接を行い,探究の過程と子どもの資質・能力形成の一致・不一致を実証したりすることに研究を広げる」としている。本年度の研究の進捗状況として、後者の「科学的な探究の過程を成立させるリソースを開発」することについて、研究初年度において、その研究成果があがったといえる。このようなことから研究の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は新学習指導要領理科(科学的な探究の特徴を踏まえた資質・能力の形成)改訂の新たな方向性を受け,学習科学の知見から,デザインベース研究(design-based research;DBR)の概念に基づき,子どもの資質・能力を形成するために,科学的な探究の過程を成立させた授業を展開し,これらの効果的な協議の手法を検討しながら,省察に基づく教師の資質・能力形成を明らかにし,理科授業を通して学び続ける教師教育プログラムを開発することにある。 DBRは,得られた知見が他の教育実践にも適応できるように研究の知見を拡大していくことを目的とする。これは,科学的な探究の特徴を認識することが求められる新小学校学習指導要領理科・新中学校学習指導要領理科と軌を一にする概念である。しかし,こうした科学的な探究の特徴に焦点を当てた研究の成果は少ない。さらに,これらを教師教育として発展させた研究の成果はほとんどない。 こうした点において、今後の研究推進方策として学習共同体コミュニティを代表者・分担者が運営し抽出された授業を省察する授業協議を展開する。研究代表・分担者が積極的に介入しながら,文脈と切り離さず科学的な探究の過程の成立を契機にした協議と子どもの資質・能力形成の実態を連動させ,評価する手法の試行と改善を反復して繰り返すことが今後の研究の推進方策として挙げられる。
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Research Products
(9 results)