2019 Fiscal Year Annual Research Report
「高水準の数学的リテラシー」概念に基づく大学数学教育の教授法の開発
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19H01738
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
川添 充 大阪府立大学, 高等教育推進機構, 教授 (10295735)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
落合 洋文 名古屋文理大学, 情報メディア学部, 教授 (00183773)
西 誠 金沢工業大学, 基礎教育部, 教授 (00189250)
小松川 浩 公立千歳科学技術大学, 理工学部, 教授 (10305956)
高木 悟 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 教授 (50367017)
羽田野 袈裟義 九州産業大学, 建築都市工学部, フェロー教授 (70112307)
五島 譲司 新潟大学, 教育・学生支援機構, 准教授 (90360205)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 数学教育 / 大学教育 / 数学的リテラシー / 授業デザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
非認知的能力についての研究や,OECDのPISAや,JABEEなどが定めている資質・能力を参考に検討を重ね,高水準の数学的リテラシー教育における評価の観点として,以下の9項目を定めた.(a) 様々な状況において数学的視点から物事を考える能力とその素養.(b) 数学的に考えることの重要性および数学的に考えないことのリスクに関する理解.(c) 数学に関する基礎的知識・能力.(d) 数学と数学以外の領域(日常生活など)との関わりの認識.(e) 問題解決のための数理的アプローチを組み立てる能力.(f) 論理的な記述力、口頭発表力、討議等のコミュニケーション能力.(g) 自主的、継続的に学習する能力.(h) 与えられた制約の下で計画的に仕事を進め、まとめる能力.(i) チームで仕事をするための能力.さらに,それらの達成度をどう測るかについて検討し,とくに「数学的に考えることの重要性および数学的に考えないことのリスクに関する理解」「数学と数学以外の領域(日常生活など)との関わりの認識」「自主的、継続的に学習する能力」については,通常の試験では評価できないとの認識から,学生に振り返りを記述させ,その内容を分析することで評価することにした.これら3つの評価を行うための質問調査を開発し,11大学・高専で評価の試行を行った.その結果1153件のデータを得ることができ,そのデータの分析から特定キーワードの現れ方が学期の初めと終わりで変化することに着目した評価方法が可能ではないかと考えるに至った.また,2019年度の評価は質問紙を配布して行ったが,受講生や教員に負担をかけない方法が必要であることから,2020年度に実施予定の評価の試行に向けて,受講生にウェブ上で入力してもらえるシステムを開発した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
年度末の新型コロナウィルスの感染拡大により,研究成果を発表する予定だった学会が相次いで中止・延期となったため,研究発表や海外の研究の調査や研究交流については一部影響を受けたが,評価の試行版の作成,授業実践と評価の試行およびその分析という主たる内容は計画通り終えることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に開発した質問調査をウェブで行えるシステムを用いて,評価の試行を行っていく.年度の前半は対面授業ができないことが想定されるため,オンライン授業で調査システムを試用し,主にシステムの教員向け機能の検証を行う.後期に対面授業ができるようになった場合,研究会メンバーによる授業見学を行う予定であるが,訪問は難しいことが想定されるため,授業を収録した映像を視聴してオンラインで検討会を行う形式での実施を試みる.学会はオンライン開催が定着しつつあり,参加は通常時よりも逆にしやすくなっている.このため,国内外のオンライン開催の学会に積極的に参加し,発表と研究交流を進める.
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Research Products
(13 results)