2020 Fiscal Year Annual Research Report
中等教育化学における資質・能力育成を志向する文脈を基盤としたカリキュラムの開発
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19H01740
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
寺田 光宏 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 教授 (40514641)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉岡 亮衛 国立教育政策研究所, その他部局等, 客員研究員 (40200951)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
今井 泉 東邦大学, 理学部, 教授 (80711390)
遠藤 優介 筑波大学, 人間系, 助教 (80759051)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 科学・化学教育 / 資質・能力 / 基本概念 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)本研究は中等教育化学におけるCompetency(以下:資質・能力とする)育成を志向しContext(以下:文脈)を基盤としたカリキュラム開発と評価を目的としている。Chemistry in Relevance(略してCHiRとする)の概略を示しつつ,研究の方向性を明らかにした。著者らが明らかにした中等教育化学における基本概念を核とした獲得すべき資質・能力の学習指導要領との整合性及びスタンダード化を検討した。また,資質・能力を埋め込む文脈について,興味・関心や真正性もつことに加え学習者とその学習対象との関係性を明確にする個人的・社会的・職業的次元を軸としたRelevance(レリバンス)のあり方を検討し多様性を持ちつつ関係を明らかにする必要性を確認した。 2)文脈を基盤とした中等化学学習プログラムの中で育成を目指す資質・能力(コンピテンシー)について, スタンダードの設定という観点から吟味する基盤を得るべく,ドイツの議論を中心に,スタンダードとコンピテ ンシーモデルの関係性,授業レベルでの運用等,スタンダードに基づく科学教育をめぐる諸相の一端を探った。 3)基本概念「変化-エネルギー」において4領域のコンピテンシーが示されたマップを作成し,資質・能力指向の文脈を基盤とした授業を試作した。 4)中央教育審議会理科ワーキングの議論では,小・中・高を通じた理科において育成すべき資質・能力の系統性の明確化に向けて「理科において育成を目指す資質・能力の整理」等を示している。本論では,これらの導出と背景,さらには,新学習指導要領への反映について整理する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
著者らが作成した中等教育化学における「つながりの中の化学(Chemistry in Relevance,略:CHiR)の基本概念をそれぞれの内包と外延を,新たに吉岡・寺田(2021)のようにコーディングルール・ファイルをより機能的な用語に組み替え,試行錯誤し再検討した。これらの共起分析の結果を見やすくCHiRの基本概念と教科書の編と関係を表し,現在の日本の教科書とCHiRの基本概念は主なる関係は,一部を除き複数の編と関係があることが明らかになった。これらの分類は複数ある面のうちどれを主と扱うかにより分類される。ドイツでも同様に基本概念の目的に応じた多様な組み合わせがある。 CHiRの基本概念は,次のような機能がある。[道具性](学習者及び指導者が「道具として」使いやすいもの) CHiRにおいて概念は形成するものであり,使用するものであるとした。ある学習過程で概念の一面を形成し,それを使い更に概念を深く理解し精緻化していく。[系統性](初等教育及び大学・社会の化学教育と系統性を維持)初等教育における化学分野との関係は連続性・包括性に大きな問題はなかった。また大学との接続においては「大学教育の分野別室保障のための教育課程編成上の参照基準 化学分野」は,CHiRの基本概念を包括しているものであった。[可変性](より良いものを求めて議論,批判し,作りかえが可能なもの)概念は「ほ乳類」や「重力」など,世界を理解するために,人類が創造してきた認識のための道具で,より良いものを求めて議論,批判,作りかえが可能である立場を取り,今後改善をしていく必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
資質・能力育成を志向し文脈に基づき多様な学習者に適した多様な授業デザインを中等教育教員と共生的実践方略をとり,カリキュラムとして開発しCHiRを評価していく.
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Research Products
(17 results)