2020 Fiscal Year Annual Research Report
The neural basis of prejudice against the family of the perpetrator
Project/Area Number |
19H01747
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柳澤 邦昭 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (10722332)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 隆介 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (10576234)
杉浦 仁美 近畿大学, 経営学部, 講師 (10761843)
浅野 孝平 京都大学, こころの未来研究センター, 特定研究員 (50713319)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 加害者 / 加害者家族 / 偏見 / 差別 / 神経基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では機能的核磁気共鳴画像法(functional Magnetic Resonance Imaging: fMRI)を用いることで、加害者家族への差別・偏見を生み出す神経基盤について研究を実施する。とりわけ、実験刺激(犯罪記事に登場する人物)に対する脳活動パターンに着目し、各刺激間の神経表象の類似度について表象類似度解析(representational similarity analysis)を用いて検討することである。 今年度の研究では、実験参加者に犯罪記事を呈示し、そこに登場する人物に対する神経表象についてfMRI実験により検討した。なお、実験参加者には登場人物の心情を想像するように教示した。fMRI実験後には、実験参加者は各犯罪記事に対して、どの程度自分のことのようにこころを痛めたかについて回答した。fMRI実験で取得した画像データに対し、表象類似度解析を実施した結果、登場人物の属性の(非)類似度の情報が、前部帯状回、島皮質、楔前部、側頭頭頂接合部などの領域で表象されていることが確認された。これらの領域の一部は心の理論や情動に関与することから、登場人物に対する共感的態度等の心理過程を構成している可能性が考えられる。また、本研究の実験手続きを考慮すると、参加者自身が保有している他者の属性等の情報に基づき、ニュース記事の登場人物を自動的にカテゴリー化している可能性も考えられる。これらの研究成果については今年度の学会において報告したが、次年度以降、海外の学術雑誌等での論文化を目指す。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通りfMRI実験を実施し、脳画像データの取得および表象類似度解析を含む多ボクセルパターン解析(multivoxel pattern analysis)が実施できた。また、画像解析の結果から、実験刺激(犯罪記事に登場する人物)の特徴に基づくカテゴリー化を示唆する成果が得られたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、脳画像データの取得および画像解析を今後も進める。また、犯罪記事に登場するターゲットへの差別や偏見をより具体的に測定可能な実験デザインを構築し、新たにfMRI実験を計画し、実施する。なお、これらの実施に先立ち、オンライン調査や行動実験を実施することで、差別や偏見の生じやすい状況、特徴等を精査する。
|