2021 Fiscal Year Annual Research Report
The neural basis of prejudice against the family of the perpetrator
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19H01747
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
柳澤 邦昭 神戸大学, 人文学研究科, 講師 (10722332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 隆介 京都大学, こころの未来研究センター, 特定講師 (10576234)
杉浦 仁美 近畿大学, 経営学部, 講師 (10761843)
浅野 孝平 大阪総合保育大学, 児童保育学部, 教授 (50713319)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 加害者 / 加害者家族 / 偏見 / 差別 / 神経基盤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、加害者家族への差別・偏見を生み出す認知・神経基盤を特定するため、心理学および神経科学的アプローチにより検討する。今年度の研究では、犯罪者の子どもが、自身は犯罪を犯していないにもかかわらず、否定的な印象を抱かれやすいかどうかについてシナリオ実験によって検討した。とりわけ、そのような背景に、犯罪者とその子供の遺伝的なつながりの影響があるか、あるいは社会的つながり(養育関係の有無)の影響があるか、それぞれの効果について検討した。シナリオ実験では、先行研究に基づき、参加者に殺人犯である中年男性のシナリオ、クラスメートを平手打ちした少年のシナリオをそれぞれ別々に提示した。このとき、中年男性と少年の2人の関係について、遺伝的つながりの有無、社会的つながりの有無の計4条件を設定し、実験参加者にはそれらのうち一つの情報を提示した。少年の人物評定等を参加者に行わせたところ、遺伝的つながりがあることで少年が否定的に評価されることはなかったが、社会的つながりがあることで否定的に評価されやすく、また少年の問題行動に対し、内的要因に帰属されやすくなることが示された。したがって、これらの結果から加害者家族への差別・偏見に対し、遺伝的つながりよりも社会的つながりがその形成に寄与する可能性が示された。これらの研究成果については次年度の学会において報告する予定であり、また海外の学術雑誌等での論文化を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
加害者家族への差別・偏見を生み出す要因として、遺伝的つながりの影響、社会的つながりの影響について検討し、それぞれの効果の有無について確認することができた。また、実験の結果から、「犯罪者の子ども」という最小限の情報においても差別・偏見が容易に生じやすいことを示唆する結果が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度のシナリオ実験に基づき、加害者家族に対する差別・偏見をより具体的に測定可能な実験デザインを構築し、fMRI実験を実施する。なお、fMRI実験に先立ち、オンライン調査や行動実験を実施することで、差別や偏見の生じやすい 状況、特徴等についても再度精査する。
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