2020 Fiscal Year Annual Research Report
乳児の視覚的注意の発達から意識の形成過程を実験的に検討する
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19H01774
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
山口 真美 中央大学, 文学部, 教授 (50282257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河原 純一郎 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30322241)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 実験系心理学 / 視覚的注意 / 意識 / 初期発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請ではこれまで研究室で得た乳児を対象とした高次な知覚発達の知見に基づき、生後7-8ヶ月前後になんらかの注意処理の獲得が見られることを調べる実験的検討を行った。成人で使用される「視覚的注意」課題を乳児に用い、「意識」の形成過程について行動実験とEEGを用いた脳計測から検討した。特に、乳児の注意研究で未開拓である「時間的負荷」を扱い、成人と同様の作業記憶がいつ成立するかに焦点を当てた。乳児を対象とした視覚的注意課題手続きの構築は研究分担者の北海道大学河原純一郎教授と行った。2020年度は春より緊急事態宣言が発令され、学内への入構が制限されたため乳児を対象とした実験実施が難しくデータ収集が困難であった。また接触の多い脳計測の実験も実施できなかった。成果として国際学会ではオンラインで開催されたVirtual International Conference on Infant Studies 2020での発表、日本赤ちゃん学会第20回学術集会でのラウンドテーブル「知覚発達研究と保育実践をむすぶ」の企画参加、第23回視覚科学フォーラム研究会のオンライン参加で研究内容を講演する機会を得るなどの実績を積んだ。さらに、岩波ジュニア新書から一般向けの著書として「 こころと身体の心理学」の発刊、本研究で得られた知見を活用した赤ちゃん向けの絵本「あかちゃんごきげん きらきら」ならびに「あかちゃんごきげん しゃかしゃか」の発刊に監修というかたちで協力した。論文としては、乳児の両眼間抑制に関する論文Yang, J., Kanazawa, S., & Yamaguchi, M. K. (2020). The development of binocular suppression in infants. Frontiers in Psychology, 10, 3389.を発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳計測実験のために必須となる脳波計(EEG)を購入し、成人用と乳児用それぞれ計測できるように機器の調整を行い、乳児向けの実験手続きの確立を目指した準備実験を行った。しかし2020年度の春より緊急事態宣言が発令され、学内への入構も制限されていたため乳児を呼ぶ実験を実施することが困難となった。コロナの状況が落ち着いた夏ころより実験開始を準備し、緊急事態宣言を避けた実験を行ったが、乳児との接触の少ない実験が中心となった。EEGを使用する実験やアイトラッカーを使用する実験では、乳児の身体に接触する機会が多く、実験参加者との距離を保つため、脳計測の実験などはこの年には実施することが不可能な状況であった。昨年度まで行った、提示された刺激が各月齢の乳児にとって適しているか否かを確認するため、研究室にすでにあるアイトラッカーを用いた実験についても現在第一段階のデータ収集を終了し、論文作成を行える状況ではあり、行動実験については、順次論文を投稿しつつ、さらなる実験を行うことができた。昨年度以前にデータを収集することに成功した乳児の両眼間抑制の発達についての実験は、Frontiers in Psychologyに発表することができた。EEGやアイトラッカー等の機器を使用しない、高速提示の時間を検討する実験は引き続き行っているが、乳児が自発的に選好する顔を題材として用い、成人の提示時間に基づいた実験のデータ取得は終了した。この実験から、乳児でも注意の瞬きが生じることが示され、作業記憶が十分発達していないと考えられていた7-8ヶ月児でも、作業記憶への書き込みと遅延が生じることが示唆され、論文を作成している。今後も引き続き時間的側面を詳細に検討しつつ、コロナが収束した時点で脳計測を駆使した実験を行っていく。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの進捗状況にある通り、コロナ下で国際会議や国内学会での発表の機会は減ったもののオンラインでの発表を行い、実験結果は順次論文としてまとめながら発表準備を行った。また、2020年度の春より緊急事態宣言が発令され、学内への入構も制限されていたため、乳児を呼ぶ実験実施が困難となった。コロナの状況が落ち着いた夏ころより実験開始を準備し、緊急事態宣言を避けた実験を行ったが、乳児との接触の少ない実験が中心となり、EEGを使用する実験やアイトラッカーを使用する実験は実験参加者との適切な距離を保つことが難しいため、この年の実施は不可能であった。コロナが収束した時点で、本年度実施不可能であった、脳計測を駆使した実験やアイトラッカーを使用した実験を再開し、研究を推進していきたい。オンラインで開催された国際赤ちゃん学会での発表や日本赤ちゃん学会のラウンドテーブル企画などができたが、今後は認知系の専門誌、あるいは専門誌を超えた一般誌でも評価を得られる研究として発表できるようなデータを収集するべく実験計画を洗練させたい。特に今年度不可能であった脳波計(EEG)の研究は、意識がどのように形成されていくかについて、その解明の一助となる研究成果をあげるために必須である。成人用と乳児用それぞれの計測を行い、乳児向けの実験手続きの確立を行うことにより、意識の形成過程とその脳内過程を明らかにすることを最終的な目標とする。アイトラッカーのデータも活用した実験のデータ収集についても、同様に今後再開したい。乳児実験が再開されたところで十分なデータが取れるよう、乳児実験の実験協力者のデータベースの確保と、実験計画の洗練、成人を対象とした実験準備などから準備を行う体制を整えている。研究協力者間の連絡も、スカイプなどを活用して行っている。
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Research Products
(20 results)
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[Journal Article] Acute administration of methylphenidate differentially affects cortical processing of emotional facial expressions in ADHD children as studied by functional near-infrared spectroscopy.2020
Author(s)
Kobayashi, M., Ikeda, T., Tokuda, T., Monden, Y., Nagashima, M., Mizushima, S. G., Inoue, T., Shimamura, K., Ujiie, Y., Arakawa, A., Kuroiwa, C., Ishijima, M., Kishimoto, Y., Kanazawa, S., Yamagata, T., Yamaguchi, M. K., Sakuta, R., & Dan, I.
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Journal Title
Neurophotonics
Volume: 7(2)
Pages: 025003
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Spatial biases in infants' learning of serial order: Evidence for the role of cultural experience.2020
Author(s)
Macchi Cassia, V., Shirai, N., Kobayash, M., Arioli, M., Bulf, H., & Yamaguchi, M. K.
Organizer
Virtual International Conference on Infant Studies 2020
Int'l Joint Research
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[Presentation] Individual and population differences in face categories.2020
Author(s)
Lee, K. R., Nakamura, K., Nakashima, Y., Yamaguchi, M. K., Watanabe, K., & Webster, M. A.
Organizer
Virtual Vision Sciences Society 20th Annual Meeting
Int'l Joint Research
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