2020 Fiscal Year Annual Research Report
Anomalous change of diffusion coefficient of protein and reconsideration for meaning of hydrodynamic radius
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19H01863
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
秋山 良 九州大学, 理学研究院, 准教授 (60363347)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺嶋 正秀 京都大学, 理学研究科, 教授 (00188674)
徳永 健 工学院大学, 教育推進機構(公私立大学の部局等), 教授 (30467873)
吉森 明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (90260588)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 拡散係数 / タンパク質 / 構造変化 / 流体力学効果 / 溶媒和 / 分子動力学シミュレーション / 統計力学理論 / 揺動散逸定理 |
Outline of Annual Research Achievements |
主目的は、タンパク質の拡散係数と水和状態の関係を解明することである。この事を計算面で確認し、理論的に解明することが主目的である。その応用として、拡散係数変化を機能部位変化と関係づけることを目指している。 『タンパク質分子の構造変化と拡散係数の大変化に対する計算科学的確認』を行うという目標は、前提部分は概ね解決できた。計算手法(基本セルサイズ依存性)に大きな問題があったため、従来法での解決と更に大きな分子を扱う場合の新しい解決法について検討を行なった。その計算結果と物理的解釈の論文発表に取り組んでいた。これまであまり注目されていなかった粘度の基本セルサイズ依存性を法則として捉えることもできた。また、かなり大きな溶質であっても、拡散係数を計算できることが分かりつつある。残念ながらその課題の論文はまだ受理されていない。現在再投稿中である。 計算研究と同時にタンパク質の拡散係数と水和の研究も進み論文と総説が出版された。 第2に拡散係数の決定要因の中でも『移動する分子が流体から受ける摩擦の理解』を進めた。シンプルなモデルを用いた理論計算では、動径分布関数の第一極小が重要な鍵を握り、溶媒和効果が拡散係数に強い寄与をすることがわかった。その関連の論文について発表することができた。 また、上記の研究の関連で、動径分布関数の積分方程式理論の論文や、特殊な形状の周囲の密度分布についての計算を行い、結果を論文で発表している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文も出版されつつあり、概ね順調に進展しているとして良い。また、研究基盤について今後この研究を着実に進めて行ける基盤が出来上がったことは大きいと思う。タンパク質のシミュレーションについては充実した状況にあるし、ノウハウもかなり手に入れた。また、理論グループも動径分布関数の第1極小の重要性を捉えている。実験も興味深い結果を積み上げつつある。ここでは問題点がある部分について集中的に述べる。 仕方がないことではあるが、この2年強の間出張が制限されていた影響は大きい。残念ながら、実験グループとの議論や理論グループとの議論の充実を思ったように進められなかったことがある。これが第1の停滞点である。特に、今後出張が可能になるに従って、次にどんな溶質をターゲットとするべきかについての議論を密に進めて行く必要がある。 また、論文出版を順調に進めている。その一方で、タンパク質の計算の論文を出版まで持ってゆけなかった点が停滞点の2番目に当たる。これはレフェリーの問題もあるので、取り組み自体は順調に進めているが、今後対策を考える必要がある。 理論計算グループが溶媒和構造と拡散係数の関係について理解を深めてくれたことは大きい。その結果、溶媒和構造のどの点について特に注目する必要があるのかが分かりつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
第一に、タンパク質のシミュレーションについては充実した状況にあるので、この2年強の間出張が制限されていた影響を払拭するべく、実験グループとの議論や理論グループとの対面を含めた議論の充実を図りたい。次にどんな溶質をターゲットとするべきかについての議論を密に進めたい。 第二に、論文出版を順調に進めている一方で、タンパク質の計算の論文を出版まで持ってゆけなかった点が問題点である。これにはレフェリーの問題もあるが、論文の内容を整理して2つに分割する方がテーマがそれぞれ絞られて理解しやすい論文になり、受理されやすくなると考えている。 理論計算グループが溶媒和構造と拡散係数の関係について理解を深めてた。今後も、動径分布関数の特に第一ピークと第一極小に注目して精度を上げてゆく必要がありそうである。
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Research Products
(13 results)