2019 Fiscal Year Annual Research Report
マングローブ森林生態系の津波減勢効果とその社会実装に関する実証的研究
Project/Area Number |
19H01981
|
Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
柳澤 英明 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (70635995)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮城 豊彦 東北学院大学, 教養学部, 教授 (00137580)
渡辺 信 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (10396608)
鈴木 高二朗 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 港湾空港技術研究所, グループ長 (50360764)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | マングローブ / 形状特性 / 毎木調査 / 海岸堤防 / 津波減衰特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の調査地点における比較を通じてマングローブ森林生態系の生育に関する環境条件を解明し、その条件を考慮した際に得られる津波減勢効果を、現地調査、水理模型実験、数値シミュレーションモデルを用いて定量化することを目的とする。 初年度は、現地調査による生育条件の把握および、形状データの収集、堤防とマングローブ林の組み合わせに関する情報収集を行った。現地調査は、マングローブ植林が行われてきたベトナム・ハイビン省と自然林として拡大している西表島浦内川で実施した。ベトナム・ハイビン省における現地調査では、沿岸部に植林されているソネラティア種を対象に毎木調査を実施し、形状に関する基本データを収集した。またマングローブ背後に建設されている海岸堤防の状況を調査し、グリーンインフラとグレーインフラの組み合わせについて検討をおこなった。西表島浦内川における調査では、衛星画像分析より1963年、1978年、1994年、2006年に自生していたと推定される森林を対象に毎木調査を行い、生育状況について検討を行った。現地調査の結果、浦内川では主に2種のマングローブが生育しており、 1963 年に作られた森は 60%がオヒルギで 40%がヤエヤマヒルギであった。一方、1978 年の森では、オヒルギ33%、ヤエヤマヒルギ 67%、1994 年の森では、オヒルギ3%、ヤエヤマヒルギ97%、2006 年の森ではヤエヤマヒルギ100%となっていた。この結果より浦内川では、およそ数十年程度の短い時間でヤエヤマヒルギからオヒルギに樹種交代している状況を把握することができた。以上から初年度において、本研究課題を進めていく上で基礎となるデータを収集することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画に従い、現地調査による生育条件の把握、形状データの収集、堤防とマングローブ林の組み合わせに関する情報収集を実施し、おおむね順調に進展している。しかしながら、ベトナム・ハイビン省での現地調査については、地理的条件により活動制限があり今後の続行調査が難しい可能性がある。その場合には調査対象地域を変更し、マングローブ植林が行われているベトナム南部のカンザー地区や石垣・西表島などで基本データの収集を行う。
|
Strategy for Future Research Activity |
複数の調査地点における比較を通じてマングローブ森林生態系の生育を明らかとするため、石垣・西表島、およびベトナムなどの地域において現地調査を実施する。さらにドローンによる空撮を行い、マングローブ林の空間的な環境条件の把握を行う。また水理模型実験を通じて、マングローブ林の津波減衰特性について検討を行うとともに、マングローブと海岸構造物の評価をするため、越波量を指標として組み合わせを評価する手法を検討する。
|
Research Products
(4 results)