2019 Fiscal Year Annual Research Report
X線非弾性散乱法による下部マントル条件での含鉄ブリッジマナイトの結晶弾性定数測定
Project/Area Number |
19H02004
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福井 宏之 兵庫県立大学, 物質理学研究科, 助教 (90397901)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 明 岡山大学, 惑星物質研究所, 客員研究員 (10262841)
芳野 極 岡山大学, 惑星物質研究所, 教授 (30423338)
鎌田 誠司 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (30611793)
中塚 晃彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80294651)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 弾性波速度 / 高温 / 高圧 / 単結晶 / X線非弾性散乱 |
Outline of Annual Research Achievements |
高圧単結晶に対するX線非弾性散乱測定を用いた弾性波速度測定を実現させるため、抵抗加熱ヒーターを組み込んだダイヤモンドアンビルセルの開発を進めた。ニクロム線をヒーター材に用い、ダイヤモンドを固定する台座にセラミックスを用いることで、試料部を800Kまで加熱することに成功した。このダイヤモンドアンビルセルを用いて、11万気圧700Kの条件に置かれたタンタル単結晶に対してX線非弾性散乱測定を実施した。この結果は学会にて報告した。 高温下での圧力を測定するために必要となる装置の内、観察光学系の整備を行った。光学素子を組み立てた顕微鏡であるが、ダイヤモンドアンビルセルの試料室を十分に観察可能なものとなった。 単結晶のX線非弾性散乱スペクトルを解析し、音響フォノンの分散関係から単結晶弾性定数や体積弾性率を精度よく決定するための方法について検討した。この方法をNaCl単結晶で得られたデータ解析に適用し、単結晶弾性定数を決定した。NaClは加圧により横波速度の異方性が大きくなることが実験的に示された。これは第一原理計算による報告と調和的であった。また、単結晶弾性定数から接待圧力の評価を行った。X線非弾性散乱測定と同時に行なったX線回折測定により得られた密度情報と、解析により得られた体積弾性率および絶対圧力の関係を再現するためには、標準密度を含み4つ以上のパラメータを有する方程式が必要であることが明らかとなった。この結果は既に論文としてまとめ、既に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究に必要な装置は順調に開発されている。単結晶で得られたデータを精度よく解析する方についても検討を行い、NaCl単結晶で得られたデータに対して適用した。その成果は論文としてまとめ、現在投稿中である。ブリッジマナイト単結晶の合成については、大型化に難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に整備した観察光学系に分光器を組み合わせ、「遠隔操作型ダイヤモンドアンビルセル加圧・加熱制御装置」を完成させる。含鉄ブリッジマナイト単結晶の大型化には難航しているが、引き続き合成実験を進める。それと共に、小さな結晶を試料として用いることも検討する。本年度は、開発された装置をもちいて合成したブリッジマナイト単結晶を下部マントル最下部条件まで加圧し、X線非弾性散乱測定により弾性波速度の決定を行う。
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Research Products
(12 results)