2021 Fiscal Year Annual Research Report
X線非弾性散乱法による下部マントル条件での含鉄ブリッジマナイトの結晶弾性定数測定
Project/Area Number |
19H02004
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
福井 宏之 兵庫県立大学, 理学研究科, 客員研究員(研究員) (90397901)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
米田 明 大阪大学, 理学研究科, 招へい研究員 (10262841)
芳野 極 岡山大学, 惑星物質研究所, 教授 (30423338)
中塚 晃彦 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (80294651)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | ブリッジマナイト / 弾性波速度 / X線非弾性散乱 / 下部マントル / 単結晶 / ダイヤモンドアンビルセル |
Outline of Annual Research Achievements |
鉄やアルミニウムに富む中央海嶺玄武岩組成の出発物質からブリッジマナイト単結晶を高圧下で合成し、その評価を電子プローブμアナライザ、単結晶X線回折、放射光メスバウア分光により実施した。この結果、海洋地殻起源のブリッジマナイトでは、電荷カップル置換により結晶中のMg,SiがFe,Alに置き換わっていることを明らかにした。この内容は論文に纏められ、2021年11月に研究分担者が主著者としてScientific Reports誌に掲載された。研究代表者も本論文の著者に含まれている。この評価された単結晶と同時に合成された単結晶を集束イオンビームにより切り出し、ダイヤモンドアンビルセルに封入した。これについてのX線非弾性散乱実験は現在進行中である。 これとは別に、bcc構造を持つタンタル単結晶に対し、54万気圧までの条件でX線非弾性散乱測定を実施した。fcc構造を持つ金属単結晶に比べて、bcc構造は非静水圧下でも単結晶の結晶性が悪化しにくいため、54万気圧でも良好な測定が可能であった。この結果に基づき、タンタルを用いた絶対圧力スケールを構築した。このスケールは、近年報告されたルビースケール(Ruby2020)とも測定圧力までの範囲で調和的であった。本研究では測定していないが、タンタルは100万気圧付近でコーン異常による軟化が報告されているが、約80万気圧まで先行研究による状態方程式と矛盾はなかった。またこの内容はすでに論文に纏めて現在投稿中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
複数の組成について、ブリッジマナイト単結晶が合成され、その結晶学的評価も完了している。またX線非弾性散乱実験も高圧下のブリッジマナイト単結晶に対して順調に実施されている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた結晶学的情報とX線非弾性散乱の結果を組み合わせることで、下部マントルの温度化学構造について議論を行う。またこの結果を論文に纏めて発表する。 現在実験が進行中のダイヤモンド単結晶の高圧下X線非弾性散乱測定も引き続き進めることで、メガバール領域での絶対圧力スケールの構築を進める。
|
Research Products
(4 results)
-
-
-
[Journal Article] Physical properties of YB66 and consideration of possible use for high-resolution X-ray optics2021
Author(s)
D. Bessas, H. Fukui, K. Sugimoto, K. Glazyrin, I. Sergueev, G. Levchenko, A. Dukhnenko, V. Filipov, O. Isnard, D. Ishikawa, H. Yoshikawa, O. Sakata, A. Q. R. Baron
-
Journal Title
Journal of Applied Physics
Volume: 130
Pages: 025105
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
-