2020 Fiscal Year Annual Research Report
Establishment of active heat transfer control of metallic nanowires by career control techniques
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19H02168
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
廣谷 潤 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80775924)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
劉 麗君 大阪大学, 工学研究科, 助教 (80809195)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 第一原理計算 / 金属材料 / 熱物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、ラマン分光による熱計測、またゼーベック係数測定システム構築のための有限要素解析による検討とデバイス作製、第一原理計算による検討を中心に研究を遂行した。 まずラマン分光による熱計測については、2年目に構築した装置の改良をさらに進め、80Kから450Kの広範囲な温度領域における物性計測が可能なシステムを構築した。現在このシステムを用いて、まずはナノカーボン材料を中心に評価を進めており、欠陥密度に応じでラマン信号の温度依存性に違いがみられることが分かった。 また本研究において、異なるキャリア量におけるゼーベック係数評価は熱輸送評価のための重要な指標であるため、真空中や任意のガス環境下でナノ材料のゼーベック係数を評価可能な実験系を構築した。まずは、有限要素解析により金属薄膜上のラインヒーターでの温度上昇量を見積もり、1次元温度分布となるようなヒーター形状の最適化を実施した。その後、フォトリソグラフィなどの技術を駆使して、Ti/Pt電極を形成し、所望の特性が得られているところまで確認した。 さらに、第一原理計算については金属型の原子層材料を対象に理論計算を進めた。電界によるキャリア変調を行うための計算環境構築に大幅な時間を要したが、電子密度に関する計算を実行できる環境構築まで完了している。現在は電子熱伝導とフォノン熱伝導のそれぞれの計算環境構築を進めており、引き続き動的な熱輸送変調に関して理論計算による検討を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
COVID-19による装置の納品の大幅な遅れやリモートワークなどによる実験の制約などを余儀なくされたため、熱輸送に関する実験検討は遅れが生じている。しかしながら、昨年度後半からようやく装置の納品等も完了し、次年度以降に必要な実験の予備検討まで行うところまで巻き返すことができた。実験の制約が大きい分、理論検討に関して共同研究者とともに検討を進めた結果、金属材料の電子・フォノン熱伝導評価に関する大体の見通しを得たほか、機械学習なども用いて金属材料に適したポテンシャル開発を行うことができた点が大きな収穫である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もCOVID-19による様々な制約が続くと思われるが、構築した実験系による物性評価と第一原理計算による検討を引き続き進める。蒸着した金属薄膜による実験では極薄の薄膜作製が非常に困難であるため、金属型の原子層材料を中心に実験とシミュレーションによる熱輸送制御の検討を行う。得られた結果や研究の過程で、研究代表者および共同研究者の国際共同研究者と積極的に検討を進めることで、国際共同研究成果の創出も目指す。
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