2021 Fiscal Year Annual Research Report
大気-海洋間の運動量・ガス交換機構の統合的モデル化とその地球環境工学的応用
Project/Area Number |
19H02249
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
杉原 裕司 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (70243970)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山上 路生 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80362458)
高垣 直尚 兵庫県立大学, 工学研究科, 准教授 (00554221)
Eljamal Osama 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (40600052)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 風波 / 運動量交換 / ガス交換 / 砕波 / 地球温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,大型風洞水槽において最高風速24メートル程度の強風速条件において風速および水位変動の測定を実施し,風速24メートルの強風下における運動量フラックスを評価した.さらに,先行研究と類似する運動量フラックスと波形勾配の相関関係を確認した.また,大型風洞水槽において,異なる吹送距離における風速と水位変動の測定を行い,風波の発達状態の異なる種々の実験データを用いることで,風波界面の遷移に伴う水面粗度長や海面抵抗係数の変化について実験的に検討した.実験データは,気泡と飛沫の生成を伴うような激しい砕波状態にある強風速条件下においては,風と風波の局所平衡則が成り立たなくなる傾向を示した.大規模な砕波が発生する風波界面の遷移に伴い,風波スペクトルの高周波領域のエネルギーが変化することを確認した.また,得られた実験データに基づいて,水面粗度長,摩擦速度,波風係数,風波スペクトルの高周波エネルギーの関係について明らかにした.中型・大型風洞水槽における表面流速の精度検討を行い,吹送流速,表面流速,ストークスドリフト流速の実験データの整備を進めた.さらに,風速変化に伴う風波界面の遷移を高速ビデオカメラで詳細に観察した. 水表面近傍における乱流素過程に関する知見を明確にするために,直接数値シミュレーションによって,風応力と温度成層の結合効果が作用する開水路乱流場の数値解析を行い,それらの効果が水表面乱流や乱流スケールに及ぼす影響について明らかにした.また,種々の実験水槽におけるPIVによる流速計測手法に関する実験システムの整備を進めると共に,実海洋における波面画像解析手法の高精度化とその適用技術について検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
大型風洞水槽において最高風速24メートル程度の強風下において風速および水位変動の測定を実施し,運動量フラックスや波浪特性量の評価を行うことができた.より具体的な検討として,水面粗度長や海面抵抗係数の波浪依存性について研究を進め,運動量交換機構を解明する上で有用な知見を得ることができた.さらに,風波界面における表面流速についても,より精度の高い実験データを整備することができた.加えて,数値シミュレーションや波面画像解析手法に関する要素技術についても検討を進めることができている.以上のことから,研究計画全体として見れば,本研究はおおむね順調に進捗していると見なすことができる.
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Strategy for Future Research Activity |
風洞水槽実験等において,さらに広範囲の風速条件の実験データを取得・整備すると共に,得られた実験データおよびそれらの解析結果について系統的な分析・検討を行う予定である.そして,本研究において得られた結果と知見を評価することによって,風波界面での遷移・砕波を記述する上で有用な本質的な風波特性量を明らかにし,大気-海洋間における運動量およびガス交換機構を乱流力学の視座に基づいて統合的にモデル化する.さらに,海面抵抗係数やガス交換速度の波浪依存性を明らかにし,これらのモデル式を数値シミュレーションに実装するための検討を行う.そして,本研究で得られた結果および知見に基づいて,本研究の成果を取りまとめる.
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Research Products
(6 results)