2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of an energization-regeneration desiccant air conditioning system using a conductive polymer as new moisture absorbing material
Project/Area Number |
19H02294
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小林 光 東北大学, 工学研究科, 准教授 (90709734)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川勝 英樹 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (30224728)
小林 大 東京大学, 生産技術研究所, 助教 (30312036)
高木 理恵 東北工業大学, ライフデザイン学部, 准教授 (30466536)
大風 翼 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 准教授 (40709739)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | デシカント空調 / 導電性ポリマー / 通電再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画した4課題(【課題1】吸・脱着性能の優れたデシカントユニット開発【課題2】通電再生による最適再生方法開発【課題3】実験及び数値解析によるロータ形状検討【課題4】試験機による性能確認実験、数値解析による運転法の検討)の推進を計画した。 【課題1】除湿性能はデシカントユニットに含浸する導電性ポリマの導入量に依存すると考え,真空含浸の時間や回数等の調整で含浸量を安定に確保する条件を見出だした。一方で,含浸量を確保できたものの除湿性能の向上が見られない結果となった。含浸でユニット基材内部まで浸透したポリマーが通電には有効であるものの,吸湿に有効に働かないことが考えられ,より薄く添着する方法などの検討を継続している。 【課題2】通電再生について,含水率と電気抵抗他のパラメータ測定を進める最中にユニットの電気抵抗の変化が現れ,この原因と対応方法の検討に多くの時間を要したが,電極周りの電気化学的な現象によるものと断定し,不活性なカーボンによる保護で対処可能となった。この結果,電気抵抗が当初の試験体に比べて極めて低く安定となった。この成果により,試験体のサイズを大きくした実験が可能となった。また前年度に交流でなければ実験不能と結論していたものが,直流でも可能となった。 【課題3】今年度,課題1の結果が不調であったため,課題3に進む事が出来なかった。 【課題4】試験機の形状を検討し,当初計画よりも極めて簡易な装置を構想し,装置案の検討立案を行った。また,試験機の運転に使用するダンパー切り替え,送風機運転,通電ON/OFFを自動化する機構を完成した。課題2で検討した直接通電を用いた試験体と組み合わせ,最終年度に試作実験を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年度までの結果から,性能向上のためには,吸湿材料である導電性ポリマーの含浸量を増加することで一定の効果が見込めるものと期待していた。実際に真空含浸の条件調整を進めた結果,含浸量が増えるとともに安定した含浸が実現する成果を得たが,除湿性能は寧ろ出ない結果となり再検討が必要な状況となった。性能向上を予定して計画したステップに進めずにいることが遅れの原因の一つとして挙げられる。また,通電の安定化は,2年目に実施した交流の採用で原理的に解決すると想定していたが,想定と異なり安定な通電に至らなかった。これを受けて実施した今年度の検討の結果,通電の不安定化は電源周りの電気化学的問題によることが判明し,対処法迄検討が進んだが,当初予定しなかった多数の実験的対応が必要となって,遅れを生じる原因となった。なお,年度初めには,通電は交流でなければならないと考えていたが,電極の改善を行った結果,最終的には直流でも通電が可能になるなど,想定と異なる結果が多数出て,その対処と方針変更が重なった。以上の幾つかの想定外の事象による遅れによって,電気的な特性の測定等,今年度計画したデータ収集が完了していない。当初非接触給電を検討していたが,工程的な遅れなどから,まず直接給電による通電で性能の出る装置を目指すこととした。 今年度もコロナの影響は大きく,相互訪問ができないことで,実験への直接参加による助言なども得られない状況にある。但し,分担者とはオンラインベースで月に2回程度のミーティングを継続し,コミュニケーションは良好である。
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Strategy for Future Research Activity |
計画当初は導電性ポリマーによるデシカント空調の実現と、非接触給電による給電を課題の要素としたが、本研究の進捗によって、最も基本的な要素であるデシカントユニットの在り方や製作方法等に関する新たな課題が発見され、これを解決する取り組みを続けている。そこで、最終年度は、非接触給電については過年度の結果からこれを棚上げし、基本となるデシカントユニットについて注力して、空調用途としての使用可能性に関する成果を得ることを第一として研究・開発に取り組む。また、導電性ポリマーを用いたデシカントユニットの電気的特性の測定などで、令和3年度に計画した内容で実施できていない項目についても最終年度に取り組み、公開可能なデータを得る。最終的には導電性ポリマーを用いたデシカント空調システムについて、本研究で得られた知見をまとめ、公開することを目指す。
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