2019 Fiscal Year Annual Research Report
Re-evaluation of urban planning and verification of continuity of planning system during transition period from pre-war to post-war
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19H02318
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中野 茂夫 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 教授 (00396607)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中島 直人 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (30345079)
中江 研 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (40324933)
佐野 浩祥 東洋大学, 国際観光学部, 教授 (50449310)
中島 伸 東京都市大学, 都市生活学部, 講師 (50706942)
砂本 文彦 神戸女子大学, 家政学部, 教授 (70299379)
初田 香成 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 准教授 (70545780)
劉 一辰 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90782342)
村上 しほり 大阪市立大学, 大学院生活科学研究科, 客員研究員 (50746104)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 近隣住区論 / 新興工業都市計画 / 防火ブロック / 住宅問題委員会 / 都市不燃化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、戦時下に日本の都市計画の原型が確立し、戦災復興から高度経済成長期にかけて試行錯誤も含めて多面的な都市計画が展開されたという見通しから、戦時下から戦災復興を経て高度経済成長期にいたるまでを「戦前-戦後移行期」と定義し、A.当時の都市計画について最重要課題であった①広域計画、②地域開発、③都市不燃化の観点から再評価し、その上で、B.戦前-戦後の計画システム(Ⅰ.計画理論、Ⅱ.計画技術、Ⅲ.計画体制、Ⅳ.事業化)の連続性(あるいは断絶)を検証する作業を通して、日本の都市計画に通底する特質を明らかにするとともに通史の再構築を目的としている。 本年度は、個別事例の研究として、光・室積の新興工業都市計画を事例に調査・分析を行い、戦時下の新興工業都市計画の計画・事業化について明らかにするとともに、戦後の旧軍関係事業として事業収束するプロセスを明らかにした。その結果、事業は大きく縮小されたが、戦前の新興工業都市計画の都市基盤が戦後の工業都市において重要な意味を持っていることが明らかとなった。また戦時下に普及した都市計画技術として、新興工業都市計画では近隣住区論を応用した計画標準により、特殊街路や幹線街路によって防火ブロックが構築されていたこと、また専用地区、空地地区がモデル的に導入されていたことを明らかにした。 また研究分担者と都市計画史研究会をキックオフミーティングを含めて4回開催しており、第一回では住宅問題委員会の住宅施策への影響について、第二回では近隣住区論と新興工業都市計画について、第三回では都市不燃化の動向と外地の都市計画について研究会を開催し、戦前-戦後の連続性について最先端の研究成果をベースに討論を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、研究代表者・研究分担者の最先端の研究成果の研究発表を通して、戦時下に確立した都市計画技術の戦後への展開について多面的な議論を行うことができた。また個別事例研究として、典型的な地方の県庁所在都市である松江の都市計画の実態について戦後の生産都市再建整備事業も含めて明らかにした。また新興工業都市のモデル事例であった光・室積について研究を進め、専用地区や空地地区などの当時の最先端の計画技術の実態について明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
新興工業都市計画について個別事例を蓄積することができたため、引き続き分析を進めて全体像を明らかにする手がかりとしたい。またそこで得られた知見をもとに、日本の近隣住区論の導入過程ならびにその普及のプロセスについて明らかにする予定である。 また戦前-戦後の連続性の観点から、引き続き研究分担者の最先端の研究事例をもとに、Ⅰ.計画理論、Ⅱ.計画技術、Ⅲ.計画体制、Ⅳ.事業化の観点から議論を深めていく予定である。 さらに、本年度は、日本が植民地支配していた外地の都市計画との関係について、中国で視察を行うとともに、現地の研究者と研究会の開催を予定している。
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