2019 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少・超高齢化時代の地方都市における持続可能な低密居住市街地モデルの構築研究
Project/Area Number |
19H02319
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Research Institution | Kogakuin University |
Principal Investigator |
野澤 康 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (00251348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星 卓志 工学院大学, 建築学部(公私立大学の部局等), 教授 (90726936)
岡 絵理子 関西大学, 環境都市工学部, 教授 (60346187)
桑田 仁 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (50276458)
秋田 典子 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (20447345)
松井 大輔 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80709816)
村上 早紀子 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (40803846)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人口増減 / 郊外住宅地 / 持続可能性 / 居住地選択 / 職住近接 / 施設圏域人口 / 交通ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は研究計画のうち、小目的①について地方都市の現状を多面的に把握・分析した。 人口動態等の観点からは、の生活利便性の高低と人口増減の関係性の分析から、利便性が高く元々人口密度が高い区域ほど人口減少の傾向が強いこと、函館市の市街地更新実態の分析から、人口減少下の郊外住宅地でもまちの新陳代謝が進行していることを明らかにした。また、施設立地の観点からは、施設圏域の人口をそこに含まれる国勢調査小地域を面積案分することにより算出するため、無料のGISソフトとプログラミング言語を組み合わせて分析するツールを開発した。 居住環境や人々の暮らし方・住まい方の観点からは、2018年に函館市で実施した居住者アンケート調査の詳細な分析を進め、居住地選択・転居の構造を明らかにした。また、函館市の立地適正化計画を例に、同じ居住誘導区域外でも、住居系用途エリアの住民は拠点エリアへ通勤先する例が多いのに対し、用途混在エリア住民は近隣に立地が進む商業施設などが通勤先となる事例もあることが明らかになった。 歴史的背景・資源の観点からは、函館市を事例に、歴史的視点から既存住宅地を捉え直すための調査、具体的には、昭和初期までに市街化した地域での住宅デザインの変遷を追った。その結果、当時の郊外地域には一棟二戸と呼ばれる長屋が多く存在し、減築や増改築を経て使い続けられている実態を把握した。 交通(移動手段)の観点からは、函館市、久留米市の交通政策に関する調査を行った。郊外住宅地等では、市街地を運行する路線バスに接続する形で住民主体型中心の交通政策が実施されており、一部地域では、居住人口が減少する一方で利用者数は増加傾向にある実態が明らかとなった。 健康(医療・福祉)の観点については、研究協力者に情報提供いただき、わが国の地方都市が抱える現状を共有し、今後の研究の重要な視点であることを確認・共有した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染症の流行により、2020年3月初旬に予定していた現地調査およびヒアリング調査を延期した。これ以外は、おおむね順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度以降も、当初の研究計画に従って研究を遂行していく。2年度目である2020年度は、2-a) 初年度の資料・データ収集で不足する部分の追加調査、2-b) コンパクトシティなどの集約型市街地像の調査と分析、2-c) 「福祉先進国」と言われる北欧諸国の高齢者等に配慮したまちづくりのあり方、西欧諸国の住宅市街地のあり方の調査と分析、2-d)「低密居住市街地モデル」構築のための条件整理、を予定している。 ただし、2019年度末から引きつづき、新型コロナウィルス感染症の流行により、特に現地調査の実施が順調に進まない可能性がある。この点に対応するため、現地調査によらない資料調査およびデータ分析などを先行して行い、事情が許されるようになったら、現地調査を実施するように、研究計画の実施の順序を若干入れ替えることも検討する。
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Research Products
(3 results)