2020 Fiscal Year Annual Research Report
Sustainable management planning theory of historical and ecological environment in the Huong River basin area of Vietnam
Project/Area Number |
19H02323
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 滋 早稲田大学, 理工学術院, 名誉教授 (60139516)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 晋 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10367047)
平井 幸弘 駒澤大学, 文学部, 教授 (30181134)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ユネスコ世界遺産 / 阮朝陵墓 / 文化的景観 / マネジメント計画 / 適正技術 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の5点が、主な成果である。 第1に、Gia Long Tomb と、これに隣接して密接な関係があるDinh Mon 村において歴史的な過程をオーラルヒストリー調査と集落の歴史文書により、取りまとめをおこなった。 第2に、皇帝陵墓とその周辺地域の成立過時点での環境構成の原則を、Gia Long 皇帝陵墓のその周辺を表現した天授局図夲、およびMing Manh 皇帝陵墓とその周辺の孝陵局図夲の図法とその表現の分析により検討した。その結果、阮朝成立以前からこの地域に入植していた集落との関係や構成要素の組み立て方、図的な表現方法などで、二つの皇帝陵墓がそれぞれの国家像を山水の構成で表現していることを明らかにした。 第3に、さらにそうした初期条件を出発点に、その後の19世紀以降の激動を超えて、水利灌漑システムや周辺土地利用、特に短期で換金可能なアカシアの植林が進むななど、文化的景観も大きく変化し、世界文化遺産としてのマネジメントに大きな課題を残していることが明らかになった。 第4に、こうした成果を活用し、エコスタディツアーを、現地での参加者と、我々研究チームを含む日本から専門家のリモート参加者によるハイブリッド形式で実施した。現地協力者と数度の実験を重ね、地上を移動しての観察とドローンの活用による全体把握、さらに、専門家がZOOMで様々な学術的内容も含めて参加者と意見交換をする仕組みを確立した。これを用いて、ハイブリッドツアーを計画検討のためのワークショップとして実施するための有効な実験を行うことができた。 第5に、上記のような研究成果をアーカイブし、各種の複合資産からなる地域の文化財の保全活用のためのマネジメント計画の基礎理論としてのHolonic Unit for environmental Manegement を試作して、活用に関して検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Vovid-19の蔓延で現地調査ができず、必要な現地での研究者自身による確認が十分に行えなかったため。リモートの活用と、現地での研究協力者との連携で、さまざまな現地との打ち合わせや映像による現地確認やハイブリッドによるエコスタディツアーを実施するなど、相当程度、この難局は乗り切ってきた。しかし、最終確認のための現地での調査が行えないため、こうしたことを含めて、繰り越しをせざるを得なかった。21年度へ繰り越すことにより、当初の20年度計画は達成することはできたが、今後の現地での最終的な確認など、残された事柄もあので「やや遅れている。」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度計画も、2022年度に繰り越さざるを得なかたが、22年の6月に現地に赴いて調査と現地カウンターパートとの打ち合わせを行い、8月からチームでの現地調査を本格的に再開する予定である。 こうして、当初計画の項目6:HUEMを用いた環境カタログの作成など、21年度の繰越分の研究を進める。22年度計画分は、それまでの研究を取りまとめつつ、2022年の3月までにHUEMによる方法論を確立するため、項目7: 環境マネジメントのためのシナリオメイキング及びエコツーリズムに関わる社会実験の実施 、項目8: 環境マネジメント計画立案の方法の枠組み提示および研究の総括をし、できれば、まとめのシンポジウムを23年3月に行いたいと考えている。しかし、Covid-19の影響で遅れている内容と、前年度の繰越分もあり、やむ終えない場合には、最終年度である2022年度予算を一部を繰り越し、2023年8月(あるいは24年3月)に総括のシンポジウムを行うことも視野に入れて現地でのカウンターパートHMCCと協議をしている。
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Research Products
(15 results)