2019 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19H02333
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
大場 修 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (20137128)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平尾 和洋 立命館大学, 理工学部, 教授 (00252479)
青柳 憲昌 立命館大学, 理工学部, 准教授 (00514837)
安森 亮雄 宇都宮大学, 地域デザイン科学部, 准教授 (20456263)
安高 尚毅 小山工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (50341392)
黒野 弘靖 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80221951)
小林 久高 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (80575275)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 付属屋 / 小屋 / 集落 / 民家 / 石造 / 屋敷構え |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年6月8日:第1回研究会(キックオフミーティング)を研究代表者及び分担者全員に奥矢恵京都府立大学准教授(研究協力者)を加えて行い、今後の研究計画を立案した。合わせて京都市北区中川北山町における杉丸太保管小屋の建築群を全員で視察し、大型の木造倉庫群の配置原理を把握しつつ、それらが中川地区の集落景観を特徴付けていることを確認した。 2019年9月7日から13日:京都府立大学大場研究室は、中華人民共和国貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州黎平県述洞村、榕江県大利村、從江県崗村において、少数民族の集落に関する建築構成とその特徴をなす穀倉群について現地調査を行った。その結果、トン族集落の群倉の多様性を明らかにした。その多様性とは、群倉の配置、穀倉形式の諸点により生成されていることを明らかにした。また、トン族集落の主屋については先行研究が示す通り、標準的な規模と形式のもので統一性が高い。したがって、群倉の様々な存在形態が集落間における集落景観の差異の主要な要素であり、集落景観を特徴付ける最大の要素であることを明確にした。その成果は、2020年度建築学会北海道支部研究報告集に投稿した。 2019年12月20日から22日:長崎県対馬市において、第2回研究会を研究代表者及び分担者に奥矢恵准教授を加えて行い、対馬における石屋根倉庫群と民家建築について参加者全員で現地調査を行った。石屋根倉庫群を擁する島内のいくつかの地区(久根田舎・久根浜など)は、科研メンバーを主体となって伝建調査を行う価値が高いことを確認し、今後地元自治体などに働きかけることとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年6月8日の 第1回研究会(キックオフミーティング)以来、研究メンバー全員による現地視察を兼ねた研究会を2回実施して、分野を超えた研究交流を行うことができた。あわせて各大学の研究室において、それぞれ独自の調査を進めた。9月7日から13日にかけて実施した、京都府立大学大場研究室による中華人民共和国貴州省黔東南ミャオ族トン族自治州における少数民族集落調査は、現地スタッフとの共同調査により、穀倉の群倉構成とその建築的特徴について初めて明らかにし、大きな成果を得ることができた。 2019年12月20日から22日にかけて実施した、長崎県対馬市における石屋根倉庫群と民家建築に関する現地調査では、石屋根倉庫群について、民家史、建築構法、建築意匠学などから学際的な調査検討を行い、この科研研究の方法論と手法に手応えを感じ、可能性を確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度(初年度)に引き続き、20年度も現地視察を兼ねた研究会を複数回行い、研究方法、研究視点に関する情報交流を行う。その上で、全国の複数各所にて個別の調査研究を行う。20年度は以下のような調査を予定している。 対馬では、重伝建調査に向けた現地調整と群倉立地に関する現地調査を実施する。あわせて島根県内において・東出雲の柿小屋の追加調査・荒島石の石造建築の追加調査、島根半島の舟小屋の追加調査などを実施する(主担当:小林)。栃木県宇都宮市域では、1)石造~木造の構法と系譜に関する構法的視点からの調査。2)石造建築(蔵、納屋、主屋)の敷地内の役割に関する生業的視点からの調査(上記の構法(ハード・建築)と生業(ソフト・社会)の2つのアプローチは、相互に補完する関係にある)。3)日本の〈石のまち〉について日本全国の石(特に軟石)の産地と町並みを視野に入れた考察、を行う(主担当:安森)。新潟県、山形県、秋田県などの各県内の雪囲いや雪囲いでつながる付属屋について調査研究を進める(主担当:黒野・青柳)。秋田県における鞘建築に関する詳細調査、加えて福島県下における蔵座敷の所在把握調査を行う(主担当:安高)。近畿地方においては、1)京都府和束町における製茶集落の製茶工場と伝統民家に関する伝建調査を実施する。2)和歌山県古座町などにおける漁家と漁村集落の調査を行い、「漁家とは何か?漁村とは何か?」に対する研究視点と仮説の獲得を目指して取り組む(主担当:平尾・大場)、などである。
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Research Products
(20 results)