2021 Fiscal Year Annual Research Report
An Empirical Study of the Formation and Reorganization of Urban Infrastructure and Residential Districts in modern East Asian Cities
Project/Area Number |
19H02335
|
Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
奥冨 利幸 近畿大学, 建築学部, 教授 (70342467)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷川 竜一 金沢大学, 新学術創成研究機構, 准教授 (10396913)
包 慕萍 大和大学, 理工学部, 教授 (40536827)
岡村 健太郎 近畿大学, 建築学部, 講師 (50737088)
林 憲吾 東京大学, 生産技術研究所, 准教授 (60548288)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 東アジア / 田園住宅 / 近代 / 住宅地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、政治家の都市建設理念を建設資金面で支えた東南アジアやオーストラリアから広州に渡った華僑たちの田園住宅地「花園新村(ガーデン ビレッジ)」の事例について、住宅の敷地形態、住宅空間構成、住宅地の住民構成まで明らかにすることを予定していたが、日本から渡航が困難となり、研究協力者の上海同済大学の温教授に現地調査を依頼した。現地調査は、上海長楽村建築実測調査の名称で実施された。具体的には、長楽村の実測調査、図面作成、住民インタビュー、歴史資料調査である。実測調査では、住宅地立地図、ドローンによる空撮による住宅地周辺環境図、敷地内配置図、建築平面図、家具・造作平面図、断面図、立面図、現状生活状況や家族構成などの聞き取り調査票による調査を行った。それに関連して、上海档案館所蔵の地番図、復旦大学資料館所蔵の歴史地図、同済大学資料館所蔵の資料集成、上海市測絵院所蔵の実測図を収集した。また、これまでの研究実績論文を各国の研究者と共有して、今後の各国の諸都市の事例の通史的な年表作成に役立てると共に、データベース化によって、広州、上海、大連、東京、大阪、ソウルなどの事例を比較研究して、目標とする東アジア住宅地の通史的な研究の基盤を築くため、これまでに研究代表者及び研究分担者が執筆した「日中近代都市における大連沙河口地区開発の意義」、「衛生の観点から見た近代大連の建築と都市施設」、「撫順の新屯から見た満鉄の炭坑町住宅地計画」の3編の論考を日本語から英語に翻訳した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、日本、中国、韓国の大規模開発された住宅地とそれを支える都市基盤の成立、開発モデル、生活スタイルの実態と今後の再編を対象に調査し、住宅地開発の事例を用いて、その共通性や関連性を解明し、東アジアの地域的近代都市建築の全体像を提示することを目標にしている。本年度は、政治家の都市建設理念を建設資金面で支えた東南アジアやオーストラリアから広州に渡った華僑たちの田園住宅地「花園新村(ガーデン ビレッジ)」の事例年表を作成して、その特徴を分析する。戦前の日本企業や日本人建築家による中国各地(上海、青島、大連、天津)での住宅地建設における住宅地計画及び住宅形態の類別を通史的な年表にまとめ、相互の関連と相違を分析し、時代的な特徴を抽出する。また、東京、大阪などの事例を比較研究する。韓国の協力研究者と共同で、Zoom会議を活用して、ソウルの郊外文化住宅地と用地計画、住宅類型、プラン構成などについて研究会を開催する予定であったが、次年度に実施する。また、研究協力者による上海長楽村建築実測調査と研究代表者及び研究分担者が執筆した論文の英訳を実施した。なお、未実施となった日本企業や日本人建築家による中国各地での住宅地調査は、次年度以降に実施する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では、日本、中国、韓国の大規模開発された住宅地とそれを支える都市基盤の成立、開発モデル、生活スタイルの実態と今後の再編を対象に調査し、住宅地開発の事例を使って、その共通性や関連性を解明して、東アジアの地域的近代都市建築の全体像を提示するという目標を掲げている。それを達成する上で、特に必要となる調査活動がコロナ禍により停滞を余儀なくされている。研究協力者への調査依頼も限度があり、一日も早い回復が望まれる。研究期間が限られている中で、東アジア諸都市で重点的な調査対象地を絞り込み、調査を進める必要がある。また、各国研究者との情報共有の機会として、国際シンポジウムの開催が本年度は見送られたため、次年度以降にオンラインも含めて開催し、現状の各国の調査分析情報を共有し、分析、検証したい。
|
Research Products
(3 results)