2019 Fiscal Year Annual Research Report
Framework for analyzing spatial and spatiotemporal distributions of points
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19H02375
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
貞広 幸雄 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (10240722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山田 育穂 東京大学, 空間情報科学研究センター, 教授 (00594756)
奥貫 圭一 名古屋大学, 環境学研究科, 准教授 (90272369)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 空間点分布 / 時空間分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず,既存の点分布分析手法のレビューを行った.既に一定程度のレビューは行っているが,本研究申請で設定する新機軸の観点から改めて既存手法を精査し,それらに共通する特徴を把握することで,汎用的分析枠組みに求められる要件を検討した.既存手法の多くが統計学及び疫学分野で開発されていることから,少なくともK-関数の開発された1980年代まで遡ってこれらの分野の論文等を追った.現時点では,汎用的分析枠組みの満たすべき要件として,1) 広域的パターンと局所的パターンの双方に適用可能である,2) 時空間次元での可視化が可能である,3) 統計的検定が実用時間内で可能である,の3つを想定している.これらの要件に合致する既存の分析手法としては,Moran's IやGetis's Gなどの空間的自己相関係数と,一連のスキャン統計量が挙げられる.但し,空間的自己相関係数は空間オブジェクトの量的属性値の空間パターンを評価する手法であり,点パターン自体を直接扱うことはできない.またスキャン統計量は,点クラスター抽出に特化した手法であり,多様な点パターンには対応していない.とはいえ現時点では,これら2つの手法は上記3つの条件を全て満たしており,本研究の目的に合致する可能性のある,有力な分析枠組みの候補である.そこでまずは,これらを多様な点パターンに対応した汎用的空間・時空間分析枠組みとして拡張可能かどうかの検討及び実証分析を試みた.しかしながら,令和元年8月までにMoran's IやGetis's Gなどの空間的自己相関係数の適用可能性に関する理論的検討と実証分析を終える予定であったが,理論面での検討に予想以上に手間取り,また,実証分析の結果が想定したとおりのものとはならず,全体的な枠組みの再検討も含めて見直す必要が生じた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
汎用的分析枠組みの要件に合致する既存の分析手法として,Moran's IやGetis's Gなどの空間的自己相関係数と,一連のスキャン統計量が挙げられる.これら2つの手法について,多様な点パターンに対応した汎用的空間・時空間分析枠組みとして拡張可能かどうかの検討及び実証分析を試みた.令和元年8月までにMoran's IやGetis's Gなどの空間的自己相関係数の適用可能性に関する理論的検討と実証分析を終える予定であったが,理論面での検討に予想以上に手間取り,また,実証分析の結果が想定したとおりのものとはならず,全体的な枠組みの再検討も含めて見直す必要が生じた.しかしながら,枠組みの再検討などが生じたものの,研究は概ね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
理論面での検討と,実証分析の速やかな実施を行い,研究の遅延を補いたい.具体的には,空間的自己相関係数と一連のスキャン統計量について,再度の理論的検討,特に,統計的検定に要する計算量の導出とモンテカルロシミュレーションによる帰無仮説下の確率分布の計算時間算出,及び,その実証分析による適用可能性の評価をまずは実施する.また,実際の適用事例において,結果が想定されるものと概ね合致するかどうか,様々な事例において検証する.
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