2019 Fiscal Year Annual Research Report
簡易類似コンテキストを用いたチーム協調レジリエンス推定に関する実験的研究
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19H02384
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅野 太郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (60436524)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
狩川 大輔 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40436100)
井上 諭 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, 電子航法研究所, 上席研究員 (40517471)
浅谷 公威 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任研究員 (70770395)
野々瀬 晃平 一般財団法人電力中央研究所, 原子力技術研究所, 研究員 (20644496)
石田 千絵 日本赤十字看護大学, 看護学部, 教授 (60363793)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | チームレジリエンス / ワークコンテキスト / コンテキストモデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度においては、1)簡易実験環境構築の基盤となる理論モデルの改良・拡張、2)理論モデルを用いた実務コンテキストの形式化、3)チーム行動トラッキング手法の開発を主に行った。理論モデルの改良・拡張では、これまでシステム要素と想定していた「人」、「タスク」、「リソース」、「道具・装置」、「知識・スキル」、「権威」、「場所」を、「人・モノ」といった存在物の時空間分布とそれらの状態(下位システム要素の縮約)に一般化して再整理した。また、コンテキストの記述視点として、後述的(descriptive)、予述的(prescriptive)、可能的(formative)、規範的(normative)の4種類を整理・定義した。実務コンテキスト形式化の例題としてRAG業務を対象に、業務マニュアルおよび現場ビデオを元に改良ワークコンテキストモデルを用いた形式化を部分的に行った。コンテキスト形式化のケーススタディでは、マニュアル・関連資料からの要素・関係性抽出のガイドラインのプロトタイプを作成した。改良モデル・ガイドラインの開発によって、これまで困難であった一貫性のあるコンテキスト記述の支援に一定の貢献ができた。チーム行動トラッキング手法の開発では、Raspberry Piを用いて複数カメラと画像認識(Yolo v3)による簡易のトラッキングシステムを構築し、複数人の空間移動を精度よく追跡できることを確認した。構築したシステムは高価な装置・ソフトウェアが不要で実装が容易なため汎用性が極めて高い。また、本年度は、台湾において本プロジェクトに関連する国際ワークショップを開催した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画では、初年度においては簡易類似実験環境構築法の開発とチームメンバーの個別行動追跡手法の開発を目標としていた。実験環境構築までは至っていないが、初年度において最大の難関であったコンテキスト理論の改良が完了し、実務コンテキストの形式化のケーススタディに至っている。また、行動追跡法の技術的開発はおおむね完了している。以上の理由から「おおむね順調に進んでいる」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
実務コンテキスト形式化のケーススタディ(RAG業務)を引き続き実施し、ケーススタディを通して、コンテキスト形式化手順・ガイドラインを完成させる。形式化したコンテキストの質的・量的特徴量に基づいた、簡易疑似コンテキスト構築(簡易実験環境構築)に取り組む。ここでは、構築方法を手順・ガイドラインとしてまとめる。行動追跡法の改良を進めるとともに、既存の装置・手法を用いた生理データ・表出データの収集法を実装する。また、既開発のチーム発話分析法を改良し、行動・整理・表出データとの統合的分析法を検討する。これら基盤技術の開発ののち、チームレジリエンス推定のための実験を計画・実施する。研究計画を進めると同時に、関連する新たな課題の探求や基礎研究の拡充も併せて推進する。
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