2019 Fiscal Year Annual Research Report
ホットアトムと含水MoO3多孔体による99mTc医療用放射性同位元素作製法開発
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19H02429
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
末松 久幸 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (30222045)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 達也 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (70323839)
南口 誠 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (90272666)
Do T.M.Dung 長岡技術科学大学, 工学研究科, 助教 (90638420)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 医療用放射性同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
医療用放射性同位体Mo-99/Tc-99mの放射化と水抽出による製造法構築のため、以下の方法で多孔質MoO3ターゲットの作製を行った。 1)Mo線材通電・電気炉加熱 Mo線材を通電と電気炉により大気中加熱し、多孔体作製を行った。双方で多孔体α-MoO3が作製出来た。このうち通電法では、線材の一部分のみが加熱されたため、大部分が金属Moのままのこり、不適であることが分かった。一方、電気炉法では、650℃3-6時間の加熱で大部分がα-MoO3となり、ターゲットに利用可能と分かった。 2)パルス細線放電法によるMo線の蒸発・反応 パルス細線放電法により、酸化雰囲気中でMo線を蒸発・反応させることにより超微粒子を作製した。有機物蒸気を導入したり酸素分圧を上げると、それぞれMoCやβ-MoO3超微粒子がα-MoO3以外に合成出来ることを見いだした。β-MoO3結晶への水分子の水和過程が分かれば、ターゲットとしての利用可能性が判断できると考えた。 3)パルス通電加熱法による焼結 α-MoO3粒子をパルス通電加熱法により450-500℃で真空中焼結することにより、かさ密度を68.5-79.9%に下げられることが判明した。これらは酸素量が減少して灰色となったが、電気炉で大気中や高圧発生装置で熱処理することにより、酸素量が増加した。また、放射化後水抽出を模擬したコールド通水試験の結果、450℃焼成の試料は割れが発生したが、475-500℃焼結の試料はクラックが生じないことが判明した。これらのことから、作製したα-MoO3焼結体はターゲットに好適であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画したα-MoO3超微粒子の合成と、焼結による多孔質α-MoO3作製法を確立し、コールド試験にも通った。 さらに、計画になかったβ-MoO3の合成が可能となった。この相は水和する可能性が高いと文献で示唆されているため、結晶内への水分子の吸着がより低温で発生すると予想されている。 このため、放射化法によるMo-99/Tc-99mの生成と水相への抽出がより促進する可能性があるため、当初の計画以上に進展したと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
令和元年度の成果を下に、以下の方法によりMo-99/Tc-99mを水により抽出させる技法の研究を進展させることを計画している。 1)ターゲット開発 β-MoO3超微粒子をウイスカとして成長させ、放射化後通水してフィルターにより水と分離することを可能にするターゲット材料を開発する。 2)原子炉による中性子照射実験 開発した多孔質αやβ-MoO3ターゲットを、研究炉で中性子照射し、通水して溶解させたMo-99/Tc-99mをγ線スペクトロメーターやICP-MASSにより定量する。ベトナム原子力研究所の研究炉での照射実験を予定しており、Duong博士との打合せを開始する。
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