2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of material for electron microscopy analysis using protein complex with huge internal space
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19H02519
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
田中 良和 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (20374225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 崇 北里大学, 理学部, 講師 (30463582)
安部 聡 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40508595)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ヘモシアニン / 構造解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、クライオ電子顕微鏡を用いた構造解析のホストとして優れた特性(ゲストタンパク質を包摂でき、特徴的な構造の巨大分子であり、解析のノウハウが蓄積している)を有するヘモシアニンを用いて、分子量の小さなタンパク質の構造もクライオ電顕で決定できる手法を開発することを目指す。2019年度までに、ヘモシアニン内部に存在するフリーのシステイン残基(Cys3246)を利用して、Cys-マレイミドによる架橋反応によりゲストタンパク質を包摂する手法を検討し、NTA基とHis6タグとの相互作用を利用して種々のHisタグ融合タンパク質をヘモシアニン内部に結合させる系を構築した。しかし、ゲストの結合によりヘモシアニンが解離することや、包摂効率が低いことが明らかになった。そこで、2020年度は、これらを解決することを目指した。NTA基とHis6タグの相互作用は非共有結合であるが、アジド基とアルキニル基をヒュスゲン環化反応を利用して反方させることで共有結合が形成できるため、それによる包摂効率の改善を目指した。Cys3246にマレイミド基を介してアジド基を結合させ、そこに、リンカーを介してアルキニル基を結合させたゲストタンパク質を共有結合させる反応系を構築した。ヒュスゲン環化反応はアスコルビン酸ナトリウムとCuイオンにより反応効率を上げることができるため、これらの条件を精査し、効率の良い条件を決定することができた。共有結合によるゲストタンパク質の結合は、電気泳動により確認することができ、意図したホストーゲスト間の結合を形成させることができたと結論した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に構築したホストへのゲストの結合技術が抱える問題点に焦点を当て、共有結合の形成によりゲストをホストのCys3246位置に結合させることに成功した点は大きな進捗であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲストの包摂効率を改善することを視野に入れ、ヒュスゲン環化反応を利用した共有結合形成によるゲストの結合に成功した点は大きな進捗であると言える。一方で、ゲストの結合がホストの安定な会合構造に影響を与えることが2019年度の研究結果で明らかになっており、今後は、ゲストの構造が維持されているかどうかを評価することが重要である。また、会合構造が維持できないヘモシアニンに代わる、安定なホスト分子の探索も重要な課題であると言える。
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Research Products
(11 results)