2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication and evaluation of Moire-angle controlled bilayer graphene
Project/Area Number |
19H02602
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 悟 九州大学, 工学研究院, 教授 (80281640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神田 晶申 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30281637)
小森 文夫 東京大学, 物性研究所, 教授 (60170388)
Anton V.Visikovs 九州大学, 工学研究院, 助教 (70449487)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ツイスト2層グラフェン / CVDグラフェン / 剥離転写手法 / 電子状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
互いに面内回転したグラフェンを 2 層重ねると,新しい結晶概念であるモアレ系結晶(以下ツイスト2層グラフェン:TBG)となる.回転角度によりモアレ周期や対称性が変化し,電子状態が大きく変化することから物性探索の場として注目されている.その作製法としてグラフェン剥離・転写が唯一の手法であるが,既存の剥離・転写法で は,回転角度の精密制御および高品質 (汚染・欠陥フリー) でかつ大面積な試料の作製が困難である. 我々は SiC 基板上に剥離が非常に容易なグラフェンがエピタキシャル成長する新 CVD 法を見出し,これをベースとした新しい剥離・転写手法を考案した.この手法は,テープ,PMMA,金属等の媒介物質を用いずに剥離・転写を可能とする「高真空中直接転写」である.本研究では,回転角を自在に制御したTBGを作製し,それらの電子物性とキャリア輸送特性を検証・探索することを目的とする. 昨年度は,TBGに関する以下についての検討を行った. 1.大面積化:剥離側のCVDグラフェンに水素インターカレーションを施し,全体として剥離しやすくすることによって,もう一方のサンプルへの転写面積を大きくすることができ,結果としてサブミリメータオーダーの面積のTBGを得た.これによりLEEDや角度分解光電子分光(ARPES)の測定が可能となった. 2.ツイスト角度の制御および評価:1-4度のTBGを作製し,LEED,STM,ARPES等により評価を行った.角度により電子状態が変化(エネルギーギャップやフェルミ速度)することを確認した.レーザー反射とステッピングモーターを用いた回転角度制御装置の開発も行った.また,SPA-LEEDを用いて~1度TBGの角度評価を行った. 3.UHV転写装置の開発:転写面積を増大させるため,超高真空中において剥離・転写が可能となる装置を作製した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
角度をさまざまに変化させたTBGの作製,大面積化は当初の予定通りである.また,ツイスト角度の精密制御(0.1度)が可能となる装置の考案・作製も終了し,本年度に実証する予定である.構造評価のための新手法として予定にはなかったCTR散乱やSPA-LEED測定も実施した.既にマジックアングルと呼ばれる1度付近のTBGも作製し,ARPESではフラットバンドも観察しており,今後詳細な検討に入る予定となっている.更なる大面積化に関してもUHV転写により可能となる予備実験も終了している.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の目標として以下を挙げる. 1.更なる大面積化:1mmx1mm以上の面積を得ること.UHV中での剥離(真空度)や転写・剥離速度との関係を明らかにする. 2.より剥離しやすいCVDグラフェンを成長すること.成長メカニズムの考察により,剥離阻害要素である6√3バッファー層成分を減少させる. 3.レーザー反射をもちいた回転角制御装置による精密角度制御:0.1度オーダーの精密角度制御を行う.特に1度付近の角度制御を行い電子状態との相関を明らかにする. 4.ツイスト角度とTBG諸物性との相関を明らかにすること.電子物性,ラマン物性,キャリア輸送特性,モアレ構造など. 5.SiCナノ表面やヘテロ表面への転写.SiCm面や傾斜SiC面へグラフェンを転写することにより,グラフェンナノ構造(リップルやリボン)を形成し,電子状態を明らかにする.
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Research Products
(4 results)