2019 Fiscal Year Annual Research Report
深部地下水環境での長半減期核種の移行を支配する物質の解明
Project/Area Number |
19H02641
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
桐島 陽 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (00400424)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮川 和也 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 核燃料・バックエンド研究開発部門 幌延深地層研究センター, 研究職 (90721225)
秋山 大輔 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80746751)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 深部地下水環境 / 放射性核種移行 / 地層処分 |
Outline of Annual Research Achievements |
異なる地質の地下研で深部地下水を採取し、ここにランタノイドやアクチノイドを添加し、分析によりこれら核種の溶解度や移行を支配する地下水成分を明らかにする。本年度は深部地下水の採取と組成分析を中心に実施した。地下水採取は、JAEA幌延深地層研究センターおよびJAEA瑞浪超深地層研究所の地下研究施設にて、それぞれ深度350mの新第三紀堆積岩系地下水と深度300mの結晶質岩系地下水を採取した。採水は、試験坑道内に設置されたパッカーで外気と隔離されたサンプリング孔から行い、密閉容器に回収した。採水時にpH、Eh、温度、電気伝導度といった地下水の基礎パラメータを測定した。さらに採取した地下水について、ICP-MSを用いて化学組成を、全有機炭素計を用いて溶存有機物濃度の分析を行った。組成分析の結果、幌延で採取した堆積岩系地下水は海水成分を多く含み、一方瑞浪で採取した結晶質岩系地下水は塩濃度やイオン強度が低い地下水であり、両地下水の性状が大きく異なる事を確認した。 次年度以降、本格実施する試験の予備試験として、得られた2種類の地下水にランタノイド元素等を添加し、孔径の異なる複数のフィルターでろ過を行い、各ろ液中の添加元素の濃度をICP-MSを用いた分析により定量し、それぞれの元素がどのフィルターにより捕獲されているかを調べた。その結果、幌延地下水の場合は孔径0.2μmのフィルターで大部分のランタノイド元素が捕獲されたのに対し、瑞浪地下水の場合はいずれのフィルターでもランタノイドの捕獲率は低い値となり、両地下水間で化学挙動の大きな違いが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに地下水の採取および分析が完了し、トレーサー元素添加試験の準備が完了したため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、JAEA幌延深地層研究センターおよびJAEA瑞浪超深地層研究所の地下研究施設にて採取した、新第三紀堆積岩系地下水および結晶質岩系地下水を試料として用い、ここにランタノイド等のトレーサー元素を添加し、分画試験を行う。分画試験後のろ液やろ紙表面を分析することにより、トレーサー元素の地下水中での粒径分布等の存在状態を考察する。また、様々な成分が混在する実際の地下水中の中で、どの化学成分がトレーサー元素の化学挙動に影響するかを明らかにするために、特定の地下水構成イオン等のみを添加した模擬地下水を調製し、これにトレーサー元素を添加して、実地下水と同様の分画試験を行う。
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