2020 Fiscal Year Annual Research Report
軽水炉1次系隙間腐食抑止と隙間水質迅速浄化技術の開発:化学的ポンピング手法の創案
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19H02642
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 東北大学, 工学研究科, 教授 (10260415)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 孝道 東北大学, 工学研究科, 技術専門職員 (20422090)
阿部 博志 東北大学, 工学研究科, 准教授 (30540695)
竹田 陽一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40374970)
青木 聡 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (60546175)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 隙間腐食 / ステンレス鋼 / 塩化物イオン / モリブデン酸塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)バルク水環境の高純度水による置換のみを用いた通常の浄化手段と比較して、バルク水へのNa2MoO4あるいはK2MoO4の添加と高純度化を交互に行うことによる『化学的ポンピング操作』により隙間内浄化(Cl-の排出)が加速される効果を評価・実証した。すなわち、一定時間後の隙間内溶液のCl-濃度を、隙間内環境にモリブデン酸塩が共存している場合としていない場合で比較し、後者を基準としてモリブデン酸塩添加によるCl-排出促進効果を定量的に調査した。当該実験において、当初は、狭隘液絡部と液溜まり部を有するチタン製ブロックの試験体を使用していたが、同一条件下においてもCl-濃度のバラツキが大きいことが問題であった。そこで、ステンレス鋼製の針を有する注射器を改造して、狭隘液絡部と液溜まり部を有する試験体を作製することにより、試験後にイオン分析に持ち込むまでの操作を減らした。これによって、実験の再現性が格段に向上した。 (2)多様な条件下での予測技術への展開を図るため、COMSOLをベースとして、隙間内環境浄化のプロセスを再現可能な数値シミュレーションを実現した。 (3)NaCl水溶液中での隙間腐食試験へのトレーサー技術の適用方法を確立することを目標に予備試験を実施した。試験片にはSUS304ステンレス鋼製M4六角ボルトおよびナットを、試験溶液は0.6 mol/L NaCl水溶液(室温、放射能量8 kBq / 20.4mL (Cl- 20853 ppm))を用いた。30日間自然浸漬したがすきま腐食の発生は認められなかった。また、イメージングプレートを用いて36Cl-トレーサーを分析したが、今回の試験条件では検出できなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計測値のバラツキが想定よりも大きいという問題を一時的に生じたが、試験体系の見直しにより解決するなど、工夫しながら予定の成果を得ることができており、研究計画の変更を要することなく進捗している。ただし、コロナ禍の影響によって、若干の時間的遅延がある。
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Strategy for Future Research Activity |
試験条件の拡大と再現性確認、数値計算との整合性確認を行い、有効性実証ならびに性能評価に繋げたい。 トレーサー試験については、確実に隙間腐食が発生する環境およびイメージングプレートに感度を有する放射能量の両面から試験条件を見直す。
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