2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of gamma-ray dose measurement method in a neutron/gamma-ray mixed field for BNCT
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19H02648
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村田 勲 大阪大学, 工学研究科, 教授 (30273600)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉置 真悟 大阪大学, 工学研究科, 特任助教 (10823396)
日下 祐江 大阪大学, 工学研究科, 技術職員 (30781314)
佐藤 文信 大阪大学, 工学研究科, 教授 (40332746)
杉本 久司 大阪大学, 工学研究科, 技術専門職員 (40379144)
伊達道 淳 大阪大学, 工学研究科, 技術専門員 (50379145)
加藤 逸郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (60314390)
吉田 茂生 東海大学, 工学部, 教授 (70174927)
宮丸 広幸 大阪府立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80243187)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | BNCT / ガラス線量計 / 混在場 / フィルター / 応答関数 / 線量変換係数 / 線量評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
新しいがん治療法としてホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy(BNCT))の研究が進められている。現在普及のため、原子炉ではなく加速器を用いたBNCTの実現が急がれている。BNCTの問題点として、患者の被曝線量の計測が難しい、ということがある。現在は、金箔(中性子)やTLD(中性子、γ線)等により推定しているが正確に評価されているとは言えない。将来の普及のためには、正確に被曝線量を計測・評価する手法を確立しておく必要がある。この難しさは、BNCTの治療場が中性子とγ線の混在場であることにある。多くの線量計は、両方の放射線に感度があり、しかもエネルギー依存性があるため、それぞれの絶対値を決めることは難しい。本研究では、現在線量計測素子として使用されているガラス線量計を用い、混在場でも中性子とγ線の線量を、別々に正確に計測する手法の開発を目指す。本申請では、まず中性子とγ線の混在場におけるγ線の正確な線量計測法を開発する。 令和元年度は、まず、理論的検討を進めた。本研究で用いる減速材フィルター法(1種類の線量計)の場合、線量は単色γ線を仮定すると簡単に解ける。これが連続スペクトルになった場合どうなるかを検討した。その結果、フィルター厚さに分布を持たせることで、応答を線量変換係数に一致させることができることが分かった。またそれは、以下の逆問題を解くことで求められることが分かった。 k=ξi・fj,i・tj ここで、tjはフィルター厚さ分布、ξiはカーマ当たりの線量、fj,iは応答関数、そして、kが線量変換係数である。現在は、設計を進めているところであるが、エネルギー依存の応答関数fj,iに若干検討すべき問題があることが判明したため、現在、並行してその検討を進めているところである。しかし、その寄与は小さく、効果を見ながら製作を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
理論検討については、順調に進み、逆問題をベイズ推定法により解くことで解は得られたが、応答行列を評価するために使用しているPHITSコードの低エネルギーの応答が、少し実験結果と一致せず、その検討を進めていたため、進捗としては少し遅れている。これに起因する誤差を小さいと見なして、研究を進めることも可能であるが、まずは、正確な理論を構築するため、理論応答を再現することを目指し、低エネルギーの応答の不一致を詳細に調べる作業を優先して行った。その結果、低エネルギーγ線の応答の研究は非常に重要であり、別途行う必要があるのではないか、という結論に達した。現在は、低エネルギーγ線源とX線管を用いることで、正確な低エネルギーの応答を評価する作業を進めながら、フィルターの設計及び製作を進めている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」にも記載した通り、研究を進めるうえで重要と思われる、低エネルギーの応答について検討を進めていく。これは、研究の過程で出てきた新しい問題であり、当初は予期できなかった。この解決を目指していくが、それでは、予定から遅れることになるため、今年度は、低エネルギーの応答問題は、その寄与は小さいと仮定し、線量評価については現状の設計で、フィルターを製作し、実験的な検証を進めることとした。更に、当初の計画で予定していた、2種類のガラス線量計用いた、混在場での中性子の線量寄与の除去法の研究については、その検討をスタートする。
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Research Products
(2 results)