2019 Fiscal Year Annual Research Report
Collective synthesis of natural products and elucidation of its biological functions
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19H02896
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西川 俊夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (90208158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中崎 敦夫 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (00366428)
安立 昌篤 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (80432251) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天然物 / 有機合成 / テトロドトキシン / オシラトキシン / アプリシアトキシン / チャルテリン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、化学構造が複雑な天然物をその類縁体とセットで“網羅的に”化学合成することで、単一の天然物を合成するだけでは困難な生物 活性の発見とその活用を目指す。具体的には、イモリに特有なテトロドトキシン関連化合物群、海産ポリケチド天然物アプリシアトキシン/オシラトキシン類、海産アルカロイド天然物チャルテリン類をそれぞれ網羅的に化学合成し、広範な活性評価を通して新たな生物活性分子を探索し、作用機序解析を実施する。ここで見出される生物活性分子は、医農薬のシード化合物や生物学研究のツール分子として周辺領域への大きな波及効果が期待される。
(1)イモリに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物の網羅合成:イモリに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物のうち、Cep-212とCep210の全合成に成功した。また、Cep212の両鏡像体を合成し、合成品と天然物のキラルカラムを使ったHPLC/MS分析によって、初めて天然物の絶対立体配置を決定した。hemiketalTTXは、分子内ラジカル環化反応によってビシクロ炭素骨格の合成に成功し、シクロヘキサン環への立体選択的な水酸基導入法を確立した。現在、環状カーバメートの加水分解とグアニジン導入による全合成を検討中である。 (2)海産天然物アプリシアトキシン(ATX)・オシラトキシン(OTX)の網羅合成:ATXの合成のために準備した前駆体から、4-epi-neo-deBr-ATX-Bの合成に成功した。また、この合成によって、天然物の構造決定に誤りがあることを見出した。 (3)海産天然物チャルテリン類の網羅的合成:deBr-chartelline Cのβ-ラクタム形成前駆体の合成に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり研究が進行中である。 イモリに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物の合成が順調に進んでいるので、当初計画にはないフグに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物の合成に着手することにした。 neo-deBr-ATX-Bの合成では、合成品と天然物のMNMRスペクトルを比較したところ、一致せず、改めて文献のデータを解析したところ、天然物の構造決定に誤りがあることがわかった。その結果、我々の合成したものは4-epi-neo-deBr-ATX-Bであることがわかった。そこで、今後 天然型のneo-deBr-ATX-B合成も行うことに一部計画を変更した。 なお、年度末に、新型コロナ感染拡大によって学会が開催されなかったため、発表が遅れている。この出張旅費を繰越すことにした。
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Strategy for Future Research Activity |
概ね、当初計画通り研究を進める。 (1) イモリに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物の網羅合成:計画通り 引き続き、hemiketalTTXの合成を進め、それぞれ全合成を目指す。また新たに、フグに特有なテトロドトキシン(TTX)関連化合物の一つであるTb-242Bの合成にも着手する。 (2)海産天然物アプリシアトキシン・オシラトキシンの網羅合成:まず、すでに確立した4-epi-neo-deBr-ATX-Bの合成ルートを使って天然型のneo-deBr-ATX-Bの合成を行う。ついで、OTX-Iの合成に着手する。さらに、過去に確立したOMe体の合成ルートを使ってOTX-D, E, Fの全合成を行う。合成品の生物活性評価も実施する。 (3)海産天然物チャルテリン類の網羅的合成:DeBr-chartelline Cを全合成する。
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