2019 Fiscal Year Annual Research Report
細胞質の糖鎖除去不全が生体に異常を引き起こす分子機構の解明
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19H02926
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
吉田 雪子 公益財団法人東京都医学総合研究所, 生体分子先端研究分野, 主席研究員 (90271543)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | NGLY1欠損症 / NGLY1 / Fbs2 / 細胞質糖鎖 / プロテアソーム / 小胞体関連分解 / ユビキチンリガーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞質に存在するN型糖鎖除去酵素NGLY1は、小胞体関連分解の過程で糖タンパク質から糖鎖を除去する。2012年にNGLY1の変異に起因して全身に重篤な症状を呈する稀少疾患(NGLY1欠損症)が報告されているが、その発症機構は不明であり、治療法もない。また、NGLY1欠損症の動物モデルであるNgly1-KOマウスは胚性致死となる。私達はこれまで、細胞質に存在する糖鎖認識ユビキチンリガーゼの研究を行ってきた。偶然、全身に発現する糖鎖認識ユビキチンリガーゼ基質認識サブユニットFbs2の遺伝子欠損がNgly1-KOの胚性致死性を回避し、正常に生育することを見出している。すなわち、Ngly1-KOによる胚性致死の原因は、Fbs2の機能によるものであると考えられる。 2019年度は、いくつかの細胞株でNGLY1-KO細胞を樹立し、Fbs2を発現させることで細胞死を起こすことを見出し、マウスで起こる現象を細胞レベルで再現することに成功した。さらには、その細胞死がプロテアソームの機能不全によるものであることも、細胞内プロテアソーム活性モニタータンパクを用いることで明らかにしている。また、このプロテアソームの阻害はNGLY1活性がない細胞で、Fbs2による異常なユビキチン化糖タンパク質の蓄積によるものであることを、NGLY1の基質として知られるプロテアソームの転写誘導タンパク質Nrf1を解析することで明らかにした。 現在Nrf1以外の小胞体関連分解基質となる糖タンパク質の同定を行い、その普遍性を解明しているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究開始当初の目標であったマウスの致死性を起こす分子メカニズムの解明を細胞レベルで行うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
NGLY1-KO細胞において、Fbs2の発現により蓄積するユビキチン化糖タンパク質の同定を行う。また、ノックアウトマウス胚におけるユビキチン化タンパク質の蓄積や蓄積する糖タンパク質の同定を行うことを今後の目的とする。
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Research Products
(7 results)