2019 Fiscal Year Annual Research Report
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19H02993
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
堤 大三 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (40372552)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 拓郎 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (60535524)
堀口 俊行 防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群), システム工学群, 准教授 (30795703)
内田 太郎 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (60370780)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 流木 / 流木捕捉工 / 土石流区間 / 水路実験 / 流木捕捉率 / 粒子法 / 構造解析 / 数値シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
過去に発生した橋梁の閉塞事例を調査し、その状況を参考にして既往の水路に変更を加えて実験水路(長さ3 m,幅0.1 m,深さ0.1 m,傾斜角5°)を作成した。また、水路に電動ポンプを用いて水を連続供給できるシステムを作成した。作成した水路を用いて、水理条件(流量、流砂量、流木量)を探査し、実際の河川における土石流区間と掃流区間に分けて基礎条件を選定した。水路流下方向にアルミロッドを3本および5本水平に設置する流木捕捉工(アルミロッド表面に凹凸加工を施すものと施さないもの)4通りを作成した。さらに、ベルトコンベアーを用いて流木モデルを水路に自動供給するシステムを作成した。用意した流木は、直線型(6,10 cm)と不均一型(6 cm)である。これらの実験装置を用い、流木捕捉実験を行った。その結果、流木が単独で流れるより複数がまとまって流れる方が捕捉されやすく、また流木長がロッド間隔に比べて長い方が捕捉されやすい結果となり、流木本数の多少と流木長さと捕捉工ロッド間隔の比に依存して流木の捕捉率が変化することが明らかとなった。ロッド表面の凹凸の有無は、大きく影響しないものの、不均一流木では、凹凸がある場合に捕捉率が上昇することが分かった。 流木と土砂の流れと構造物の相互作用を解析する手法としては、流木や構造物の形状を直接的に再現可能な粒子法が適しており、すでに開発されている粒子法による土石流解析モデルをベースとして、シミュレーションプログラムが作成されている。このプログラムをベースに、水路実験の再現計算が実施できるようにプログラムを修正し、水路実験の再現計算を実施し、解析手法の精度・有効性の検証をおこなった。 また、新しい流木捕捉工を実用化するために必要な諸条件の検討を行うととともに、水路実験と数値解析の結果を反映し、流木を含む土石流に耐久性を持つ捕捉工の構造の解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた水路実験、粒子法による数値シミュレーション、構造解析、現地調査による適地の検討などは、おおむね計画通り進んだ。ただし、実際の適用目的を当初の橋梁の閉塞防止だけではなく、既存の砂防施設における補足的な流木捕捉や貯水池への流木流入の防止などにも柔軟に拡大できることを想定し、河川傾斜角を土石流区間と掃流区間を想定したものに対応して変化させることを考えている。2019年度は、土石流区間を想定して水路傾斜角を5°に設定したが、掃流区間を想定した2°での水路実験も実施する必要がある。当初は、実験水路を新しく購入する計画であったが、水路作製業者との調整がうまくいかず、新規購入を断念し、既存の水路を修復、変更し利用した。そのため、水路に通水して循環するシステムを独自に作成し、また流木モデルを安定的に供給できるシステムを、ベルトコンベアーを用いて作成する必要があった。 数値シミュレーションに関しては、すでにベースとなるプログラムを作成しているが、実験結果の再現計算等は、一連の実験を終了してから本格的に取り組んでいるため、時間的な制約があり、完全に実験結果を再現できる状態とはなっていないが、2020年以降も引き続き実施するため、問題はないと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度に実施した実験により得られた結果の物理的意味を検討するため、集団としての流木モデル供給ではなく、個別の流木モデルの供給条件(流木長さや方向)をより詳細に調整し、水路実験を実施する。これによって、流木捕捉工の基本構造の最適化の検討を行う。また、2019年度は、流木のみを供給し、土砂に関しては検討を行わなかったが、流木と土砂の同時供給による捕捉率の検証を実施する。加えて、流木形状(枝葉、根系の有無)を変更した実験を実施する。2019年度は、河川の土石流区間を想定した水路実験を行ったが、同様の実験を、掃流区間を想定した水路によって行う。 数値解析に関しては、1年目に開発したプログラムを用い、水路実験の再現計算を継続し、解析手法の精度・有効性をさらに検証する。また、実用化に向けて解析対象を水路実験からスケールアップし、実スケールでも流木捕捉工が機能するかを検証するとともに、構造解析を行い、実用化に耐えうる流木捕捉工の構造についても検討を行う。
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Research Products
(2 results)