2019 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and restoration for a large-scale shallow landslides caused by the 2018 Eastern Iburi Earthquake
Project/Area Number |
19H03000
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
柳井 清治 石川県立大学, 生物資源環境学部, 教授 (20337009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中田 康隆 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究職員 (10827041)
勝見 尚也 石川県立大学, 生物資源環境学部, 講師 (40769767)
佐藤 創 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 部長 (60414257) [Withdrawn]
古市 剛久 北海道大学, 理学研究院, 学術研究員 (60464202) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 土壌物理性 / 根系 / テフラ / Ta-d / En-a / UAV / 斜面崩壊 / 胆振東部地震 |
Outline of Annual Research Achievements |
崩壊実態調査を行った結果、斜面崩壊タイプは浅い表土層が崩落する表層崩壊であるが、この表土層は過去に樽前山や恵庭岳から噴出したテフラから構成される場合が多かった。とくに、厚真町吉野周辺では、遷急線上部の斜面に厚い風化軽石層(Ta-d層、約9000年前噴出)の下位にある粘土層を境界として崩落したものが多かった。その北方安平町瑞穂地区ではより古いEn-a(噴出年代約2万年前)の下部からの崩壊であった。両者の違いはテフラの厚さが関係しており、En-aは北方、Ta-dは南方に堆積軸があり、両地区とも各テフラ層が1m以上堆積した場所での崩壊が顕著となった。 崩壊物質となったTa-d層は、他の層と比べて特異的な物理特性を示す。その乾燥密度は、0.18-0.41と他のテフラ層(0.47-1.43)と比べて低い傾向がみられた。Ta-d層の三相分布として、いずれの地点でも固相率が1割前後と低く、体積含水率が高い傾向であった。透水性は、Ta-b層とEn-a層で極めて高い値を示した。保水性は、全てのサンプル地点のTa-d層で高い値を示し、粘土と同等の保水性を有していた。 そして厚真町の高丘地区と東和地区の崩壊斜面を対象に、 RTK-UAVとSfM多視点ステレオ写真測量を用いて、 測位精度の実証試験と地形変化の解析を行った。 実証試験の結果、 各検証点と数値表層モデルの平均位置精度は、 水平・垂直方向で0.060 m~0.064 mであった。UAVを用い2019年4月から10月までの地形変化を調べたところ、 高丘地区は東和地区よりも斜面表層の変化量が多かった。 これは、 高丘地区の方が斜面表層を構成する土砂や植生が多く残っていることが要因であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大のため、航空機を使って現地に行き、必要なデータを取得することが困難な状況であった。また研究協力者であるアメリカのコロラド大学アンダーソン教授から助言を得る予定であったが、海外から日本に来ることが極めて困難な状況であり、コンタクトをすることも難しい状況であった。このため、研究内容についても十分な討論が実施できていない状況である
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の調査から崩壊土層として重要であるTa-dに着目し、崩壊地と非崩壊地における力学的特性の測定を始める。まず 非崩壊地における土のサンプリングと、各層における土の物理性を計測する。その際 崩壊地と非崩壊地における各層の力学的特性(せん断強度)を簡易ベーン試験機により測定を行う。 斜面崩壊のメカニズムについては、とくにすべり面を形成するハロイサイトの分析と生成条件について検討を行う。とくにこれまでのサンプルをさらに追加して分析を行い、TG-DTA による粘土組成の解析を行うとともに、XRF による Si/Al 比および Fe 含量の測定を行う。またTa-d および En-a からのハロイサイトの合成(風化促進試験)についても実験を進める予定である リモートセンシングによる解析に関しては、 瑞穂、 早来、 幌里、 幌内、 鵡川を対象地とし、 UAV 空撮画像から DSM を作成し、 発災前の 10mDEM との差分解析により、 各地域における地震由来の土砂流出量を算出する。 さらに発災直後の 2018 年の航空機レーザデータ DEM との差分解析により、 各地域における崩壊地表層の標高変化量を算出し、 侵食や堆積の状況を把握する。 これにより、 崩壊及び流域の荒廃状況と土砂流出状況について、 UAV を用いて定量的に把握する予定である。 森林復元の研究については、火山灰層において植生を適切に定着させる方法を探るため、崩壊斜面内の辺縁部(表土移動のため裸地状態)において、表土安定工(植生袋設置、現場の火山灰土使用)および植生導入試験を行い、融雪後まで植生の生育状況を継続調査する予定である。
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