2021 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism and restoration for a large-scale shallow landslides caused by the 2018 Eastern Iburi Earthquake
Project/Area Number |
19H03000
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Research Institution | Ishikawa Prefectural University |
Principal Investigator |
柳井 清治 石川県立大学, 生物資源環境学部, 特任教授 (20337009)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮井 聡 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 主査 (10723190)
中田 康隆 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 森林研究本部 林業試験場, 研究職員 (10827041)
百瀬 年彦 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40742515)
勝見 尚也 石川県立大学, 生物資源環境学部, 准教授 (40769767)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 胆振東部地震 / 斜面崩壊 / テフラ / ベーン試験 / 森林再生 |
Outline of Annual Research Achievements |
崩壊地域の北部から南部の14地点において、テフラが堆積している断面に対し垂直な方向から、ベーンテスターも用いて測定可能な各テフラ層のせん断強度を測定した。せん断強度調査の結果、すべり面であるTa-d風化粘土ではせん断強度が10 kPaを下回り、脆弱であった。一方で同じ粘土で乾燥している箇所では最大で45 kPaにもおよび、含水状況で35 kPaもの変化があることが示唆された (図1)。図2に斜面崩壊に対する環境情報の重要度の算出結果を示す。傾斜角が最も重要度が高く、次いで湿潤指数、震央からの距離が高かった。上記の3要素より低いが、傾斜方向、植生も比較的重要度が高かった。 次に環境情報と崩壊発生の関係を調査するために、ArcGIS Proを用いて非崩壊斜面と崩壊斜面の斜度、斜面方向、推定震度、湿潤指数、地質、斜面分類、震央からの距離、テフラ堆積深、植生を抽出し、「フォレストベースの分類と回帰」の解析ツールを用いて、各環境情報の崩壊発生における重要度を算出した。この結果、斜面崩壊の要因の1つに水分を多く含むTa-d風化粘土の存在が挙げられた。とくにTa-dが分布可能な斜面傾斜 (緩斜面) 、Ta-d粘土層に水が溜まりやすい凹斜面が重要であると考えられ、これは傾斜角および湿潤指数の重要度が高い点とも調和的である。したがって、地震による斜面崩壊の予測においては、テフラが分布している斜面での土層中の含水状況を把握することが極めて重要であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により、調査地に行くことが制限され、解析に必要な十分なデータを取得することができなかった
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Strategy for Future Research Activity |
1)斜面崩壊地の解析:崩壊地の分布とテフラの分布、それらと崩壊発生との関係を多変量解析を用いながら解析を行う。 2)崩壊メカニズムの解析:前年度に引き続き、土の強さの指標となる、せん断強度を現場で測定する。簡易的な手法として知られるベーン試験を用いて、各土層のせん断強度を測定する予定である。 3)崩壊地復旧方法の解明:崩壊から数年が経過し、植生回復も進行してきた箇所が見受けられることから、人工衛星写真やUAVを用いながら植生回復の状況についても把握し、それを規定する要因について検討を行う予定である。生育基盤別の表土安定工の導入試験(については、2022年度に調査地を設定する予定である。
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